英語に敬語はあるの? 押さえておきたい丁寧な表現の使い方

2021.06.17

英会話フレーズ

英語圏の考え方に、敬語表現力はあるのでしょうか。
日本語だと「行く」は「いらっしゃる」や「伺う」になり、「言う」は「仰る」や「申し上げる」と、相手によって言い換えをしています。尊敬語は相手の行動に対しての敬語で、謙譲語は自分の行動に際しての言葉です。日本語は複雑な尊敬、謙譲、丁寧と相手によって使い分けています。そうそう、学生の時に古文の授業で「源氏物語」のなかでやりましたっけ。
日本語のシステムと英語のシステムは確かに違いますが、日本語にある敬語、英語にも果たして敬語はあるのか、ご紹介していきます。


英語に敬語はあるの?

  • 英語に敬語はあるの? 押さえておきたい丁寧な表現の使い方

 

日本語は尊敬語、謙譲語、丁寧語があると古文の授業でも確かやりましたね。思わず学校の古文の先生の顔が浮かんでしまいました。尊敬語、謙譲語は日本語独特の言葉遣い。上下関係を尊敬や謙譲の気持ちを込めて、敬語表現する日本人の言い回しは、目上の人を大切にするあらわれです。かつては両親や祖父母にも敬語を使っていましたが、今では仕事関係の場合だけで敬語を使う機会は失われつつあります。
でも丁寧な言葉遣いは好い印象をもたらします。英語も同じ。上品な物言いは好印象をもたらします。でもそもそも、英語に敬語はあるのでしょうか。

英語には尊敬語や謙譲語はありませんが、丁寧な表現はもちろんあります。また貴族たちが使う英語と、労働者たちが使う英語は違います。映画「マイ・フェア・レディ」は花売り娘が言語学者によって、発音矯正されるお話でした。 イギリスではロンドンの下町で話されるコックニーという労働者の訛りは、同じ英語と思えない発音と言葉遣いになります。そして英国王室と貴族たちの言葉遣いや日常的な表現もまた違うもの。クィーンが話す英語がクィーンズイングリッシュというわけで、そこまでの英語力の獲得は到底無理ですが、場面に応じてカジュアルではない会話を身につけることをおすすめします。

英語の敬語を使うときのポイント

ではどんな英語にはどんな敬語があるのか、ここで勉強していきましょう。ビジネスやフォーマルな場所で必ず役に立つ表現をご紹介します。

  • 英語に敬語はあるの? 押さえておきたい丁寧な表現の使い方

 

敬語のバリエーションを押さえる

丁寧な英語表現はシチュエーションに応じて使い分けます。初めて会った人には特に印象が大切です。
質問の際にはwouldとcouldを使って訊きます。このwouldには訊ねていることの「意思」を、couldには訊ねていることの「可能性」を伺っていますが、どちらも丁寧な訊ね方として必要不可欠な表現です。日本語と同じように疑問文でお伺いをすると、その印象は好くなりそうです。

Would you like something to drink?
何かお飲み物はいかがですか?

Could you tell me your email address?
あなたのメールアドレスを教えていただけますか?

自分のお願いを通すときは、

I would like to open the window.
窓を開けていただきたいのですが。

こう表現すると柔らかな物腰で伝わります。この表現は、レストランでの予約やメニューを選ぶ際に使える丁寧な表現ですので覚えておきましょう。

I would like to make a reservation for dinner, this evening.
今夜の夕食の予約をしたいのですが。

I'd like to have a cup of tea.
紅茶をいただけますか。

ただしパブのビールの注文に、

I'd like to have a pint of stout.
スタウトビールを1パイントいただきます。

では、場違いな言い方にもなりかねません。丁寧は度合いが過ぎてもいけません。パブでは代わりに、

I'll have a pint of stout.
スタウトビールを1パイントください。

くらいがよさそうです。またwillやcan、mayも丁寧な表現として使えます。

Will you pass me the meeting agenda?
会議の議題をいただけますか?

Can I ask you something?
お願いしてもよろしいでしょうか?

May I have your name?
お名前をいただけますでしょうか?

また何でもpleaseを付けても丁寧なだけの英語表現にならないようで、そこも英語の難しいところです。例えば、

Please confirm the article.
その記事を確かめてください。

同僚等への依頼では問題なさそうですが、上司や取引先には、

Could you confirm the article?
その記事を確かめていただけますでしょうか?

とcouldを使った方が差し障りはなさそうです。伝える時にpleaseだけでは丁寧にはならないようなので気をつけましょう。

英語のクッション言葉を使う

英語のクッション言葉も丁寧に聞こえます。日本語の「お手数ですが」と同じ使い方になります。

I'm afraid I must say goodbye now.
あいにく、そろそろ失礼しなければなりません。

We are sorry for the inconvenience.
ご不便をおかけして申し訳ございません。

交通機関などの事故や遅延の時に使われそうな表現ですね。

単語の言い換え表現を覚える

使う単語をフォーマルなものに言い換えることで、丁寧な表現として使えます。
例えば、tellをinform、buyをpurchase、aboutをapproximatelyなど使い分けることで丁寧な表現に変わります。口語表現ではなく書き言葉の場合もありますので、その使い分けにも気をつけましょう。日本語で書面に「時下ますますご清栄申し上げます」とは書きますが、あまり言葉にすることはありませんから。英語の自然な表現を身につけていくようにしましょう。

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ビジネスシーンで押さえておきたい英語の敬語表現

ビジネスで使える英語の敬語表現を覚えていきましょう。使えそうな文章は丸ごと覚えて、実際に使ってみてください。

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依頼、相談するとき

丁寧な表現のwouldとcouldですが、その使い分けにも気配します。相手の意思を確認するときはwouldを使い、何が可能なのか訊ねるときはcouldを使います。
なぜこれが過去形なのか…それは英語の仮定法を使っているからなのです。可能性を現在形ではなく過去形にすることで、直接的ではなく婉曲にお伺いを立てることになるようです。

Could you send me a mail by this coming Wednesday?
今度の水曜までにメールをいただけますでしょうか?

Could you possibly send me the data?
そのデータをいただくことは可能でしょうか?

Would you like to play golf next Saturday with us?
この土曜に私たちとゴルフをしませんか?

またfavourも丁寧な表現で使えます。

Could you do me a favour?
実はお願いがございまして。

より丁寧な場合には、文頭に英語のクッション言葉を挟みます。

I was wondering if you spoke Japanese.
もしできれば日本語でお話していただきたいのですが。

I was wondering if you could support us.
できれば私たちを助けていただけますでしょうか。

またmindを使った丁寧な表現をご紹介しましょう。

 

Do you mind coriander?
パクチーは大丈夫ですか?

Would you mind forwarding the email to me?
私にそのメールを転送していただけますでしょうか?

Would you mind if I asked you to do this project?
あなたにこのプロジェクトをお願いしても構わないでしょうか?

この例文のように、wouldとmindを使って失礼にならない完璧なお願いの表現ができます。

お礼するとき

Thank youだけではやはり物足りないときは、状況によっていろいろと使い分けてみましょう。

Thank you so much for your support.
ご支援ほんとうにありがとうございます。

I really appreciate it.
心より感謝しております。

We are grateful for your understanding.
ご理解に感謝申し上げます。

Thank you for your hard work.
お疲れさまでございます。

Thank you for your cooperation.
ご協力よろしくお願いたします。

Thank you very much for inviting us today.
本日はご招待ほんとうにありがとうございます。

Thank you for inviting us to dinner.
夕食にご招待いただきありがとうございます。

いろいろなお断りのシチュエーションによって、敬語表現を使い分けてみましょう。

断るとき

お断りのときこそ、丁寧な英語表現を活かすようにしましょう。

Against my will, I'm afraid I have to decline your offer.
不本意ではありますが、今回はご辞退いたします。

He had invited us to lunch, but we declined, because we had other plans.
彼に昼食を誘われたのですが、私たちは他の用があってお断りしました。

Unfortunately, we can't do it.
残念ですが、それをすることは致しかねます。

Unfortunately, we will have to give up this time.
残念ですが、今回私たちは諦めます。

We are very sorry, but we're not very interested in that content.
残念ながらその内容について興味がございません。

仕事の依頼などを断るときほど、相手に好い印象の英語表現を使えるよう、英語力のレベルアップをはかることを心がけます。

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英語はフォーマルな表現を身につけましょう

  • 英語に敬語はあるの? 押さえておきたい丁寧な表現の使い方

言葉はその人の姿勢を映しています。自分が話す英語は失礼のないきちんとした英語が話せるよう、いつもチェックすることを心がけましょう。また相手の言うことをわかろうとする配慮もコミュニケーションには大切なこと。距離感を持たずに、相手との会話を楽しめるように、心からの気持ちを伝えます。
例え文法的に少し間違えたとしても、印象の好い言葉は相手に伝わるはずです。フォーマルな英語を話すように注意すれば、海外でのビジネスの信用はもらえるはずです。ただし、あまり丁寧過ぎても堅苦しくなりますので、スムーズなミュニケーション力を培いましょう。