Getting to Know Red HouseⅢ~From the United Kingdom

2020.08.20

英国史雑学

ウィリアム・モリスがかつて住んだ邸内を回ります。

レッドハウスの2階の玄関の上あたりにある部屋がモリスの寝室だったらしいのですが、とても新婚のベッドルームではありません。細長く狭く感じる部屋です。モリスだけの寝室だったのでしょうか。
2013年に、このベッドルームにあった壁画が、モリスをはじめ、画家のブラウン、バーン・ジョーンズ、ロセッティ夫妻の共同の作品であることがわかりました。今は光を通さない部屋になっています。暗いので何か感じるかと思いましたが、何の気配もこの部屋には残っていません。160年の遠い時を伺うことはできませんでした。

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2階の北西の部屋は居間。モリスの独身時代にロンドンで使っていた、白いセトルが運び込まれ、そのための部屋のようですが、まず目を奪われたのは敷かれている段通。鮮やかな赤と細かいペルシャの模様に目が離せません。ガイドの紳士によると、ここで一番高いものがこの絨毯と言っていました。そして出窓には白い椅子が作られ、クッションが置かれています。
この窓辺でモリスとジェーンは語り合ったのではないかと、ふと思います。幸せの佇まいがそこにあるような気がします。この家に住んだ後の二人のこれからは、簡単なものではありません。結婚生活はうまく進まず、やがてジェーンは画家のロセッティと深い関係になってしまいます。モリスがこだわり続けて新妻のジェーンのために建てたレッドハウス。ここに5年も住むことなく、ここから2人は離れます。

最後に庭へ出ると、ここには彼らのいた穏やかで幸せな風景が、この館を取り巻いていたことに気づかされます。
赤い煉瓦の館は青空に映え、レッドハウスが世界でも有数の美しい家だとわかります。魔女の帽子のような井戸に、腰かけている2人の姿が見えてきそうです。モリスの思う美を追求したレッドハウスは、庭木、草、花々までに残り、後人たちの眼を、今でも楽しませてくれています。
ここのカフェもなかなかユニークな名まえでしたので、また別の機会にご紹介しましょう。