英語のビジネスメールの書き方|伝わりやすい要点を例文付きで解説

2018.11.07

勉強法

初めて海外の取引先や外国人上司などとEメールのやり取りをするとき、何を書けばよいのか分からなくなることはないでしょうか。日本語ならともかく、英語で失礼のないような文を書くほど英語力がない、と困っている人は少なくありません。
しかし、英語のビジネスメールは、それほど難しいものではありません。決まり切った言い回しが多いので、パターンを覚えてしまえば書けるようになります。今回は、英語のビジネスメールにおける件名や本文のポイント、そして覚えておきたい例文をご紹介します。

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英語でビジネスメールを書く際のポイント【件名】

英語に限らず、ビジネスメールでまず重要なのは件名です。限られた文字数で用件を要約し、メールの受け手が「読まなければ」と感じるような件名であることが理想となります。

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用件の概要が伝わる件名にする

用件の概要を伝えるために、いくつか意識するべきポイントがあります。まず「Thank you」や「Hello」のような抽象的な件名や、内容を予測できないような件名を避けるようにしましょう。迷惑メールと認識され、読まれないまま削除される可能性もあります。
何を目的としたメールなのか、具体的に伝わる内容を含めましょう。相談、依頼、招待、問い合わせ、あるいはお詫びなど、はっきりした言葉を件名に盛り込んでください。発信日や期限などの日付を入れて、以下のようにするとよいでしょう。

例:Request for an appointment on July 30
訳:7月30日のアポイントメントのお願い

「Request」のように大事な言葉は、なるべく件名の左側に配置します。忙しい受け手が一瞬で「読むべきメールか、そのまま削除してよいメールか」を判断できるように配慮しましょう。

取引先には丁寧な表現を含める

無駄を省き、端的に記述するのが件名では重要です。ただし取引先のように丁寧に接するべき相手に対しては、件名の英文にも注意が求められます。
まず「ASAP(As soon as possible)」や「FYI(For your information)」のような短縮表現は、避けた方が無難でしょう。こうした短縮表現を使うと少ない文字数で済むのですが、基本的には社内メンバーに限定して使うべきです。
取引先に依頼をするときは、頭に「Please」を入れることで柔らかい印象を与えられます。たとえば、「Please submit your request by 5:00 PM Today」と件名に記すと、命令的なニュアンスが和らぎます。

緊急のときは緊急性を件名に含める

緊急の用件のときは、日本語のビジネスメールでも「【緊急】」や「【大至急】」など緊急であることを表す言葉を件名の先頭に入れます。英語でも同様です。件名に「緊急」を意味する「Urgent」を付け加えることで、緊急性を強調することができます。
単に緊急であることを伝えるだけでなく、返信や対応の期限を具体的な日時の形で入れると効果的です。のんびりした文化や性格の人もいますから、「早くやってくれ」だけでは動いてくれないかもしれません。明確に期限を伝えるようにしましょう。
なお、「Urgent」を伝えるメールは大事な場面に絞り、あまり乱用しないように注意しましょう。イソップ物語のオオカミ少年ではありませんが、緊急性を伝えても嫌がられて対応してもらえなくなる可能性もあります。

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英語でビジネスメールを書く際のポイント【本文】

件名の次は、本文の書き方です。社内のルールもあったりしますから、基本的には他の人の書き方を真似るのが効果的でしょう。ここでは、それ以外の基本的かつ汎用的なポイントをまとめてみました。

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宛名に配慮する

本文の冒頭に記載する宛名がまず問題となります。
日本語の場合は相手の性別や年齢などによらず「~様」「~さん」とすればよいのですが、アメリカで「~さん」レベルの敬称にあたる「Miss」や、「Mrs.」などはあまり使われません。未婚や既婚を確認せずに間違えた場合は失礼にあたりますし、そもそも女性だけ未婚/既婚を区別するのが性差別にあたるのではないかという議論もあります。
敬称を使用する場合は「Mr.」か「Ms.」を使うのが無難でしょう。ある程度親しい間柄であれば、ファーストネームをそのまま使うことをおすすめします。
その代わりに、日本と同じく会社名や部署名を明記するのがよいでしょう。読んでほしい相手に届きやすいですし、礼儀を失するリスクも避けられます。もし担当者や部署名が分からない場合は、日本語の「ご担当者様」にあたる「To Whom It May Concern」を使いましょう。

相手と面識がないときは自己紹介を入れる

英文メールでも、初めての相手に対しては自己紹介を入れます。
「My name is ○○」や「I am from ×× Corporation」のように、自分の氏名や会社名を説明するのが常識的です。送り手のプロフィールが不明瞭なまま用件に進んでしまうと、読み手に不信感を抱かせかねません。
またメールを送っている背景を説明するようにしましょう。相手の会社の商品に興味を持っている、相手の必要な広告戦略に長けている、展示会で名刺を交換したため挨拶のメールを送っているなど、自分(自社)と相手とのつながりを示すような内容を含めてください。
いずれも、相手の警戒心を解くような内容です。初めてメールを送る十分な理由があることを納得してもらい、本文のその先を読んでもらうような冒頭文を書きましょう。

要点を簡潔にまとめる

日本語のメールだと、相手に対する気遣いや配慮などによって、情報量の割に文章量が多くなるケースがあります。しかし英文メールでは、要点を簡潔にまとめて相手のアクションを促すような文章が求められます。これもまた、相手が読み落とさないような気遣いなのです。
要点のまとまったメールを書くためには、話題を一つに絞り込むことが重要です。一つのメールに複数の話題が含まれていると、どうしてもまとまりのない文章になってしまいます。異なる話題がある場合は別のメールに記載するよう心がけ、「一つのメールには一つの話題」を忘れないようにしましょう。
送信する前に読み直すこともおすすめします。慣れないうちは同僚や上司など第三者の目で見直してもらい、読みにくさがないか、簡潔にまとまっているかなどをチェックするようにしてください。

読みやすい文面にする

内容に加えて、文面=見た目でも読みやすさを心がけます。文章の最初は左端に揃える、適度に行間を入れるなどを意識すると、読みやすい文面になります。
また、大文字を使用すると言葉や文を強調できます。ただし多用は避けてください。大文字を多用すると、過度な強調でくどい印象を与えます。内容によっては、相手に特定の反応や行動を強要する印象にもなりかねません。大文字の使用は「ここぞ」という部分だけに限定しましょう。

署名を必ず入れる

メールの最後には、自分の名前や会社名、連絡先(電話番号、メールアドレス)を署名として入れるようにしてください。これによって、自分が何者であるか伝えられます。会社情報や連絡先を明記することで、相手が連絡を取ることも容易になります。

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英語のビジネスメールの例文【シチュエーション別】

6つのシチュエーションについて、ビジネスメールの例文をご紹介します。こちらを適宜アレンジすれば、大きくポイントを外した英文にはならないでしょう。

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例文1:案内する

会議の延期を伝える文です。
【英文】I'd like to inform that tomorrow's meeting has been rescheduled from 4 August to 10 August.
【和訳】明日のミーティングが8月4日から8月10日へ変更されたことをお伝えします。
【解説】ただ「Tomorrow's meeting has been rescheduled~」とせず、「I'd like to inform that~」を付け加えることで丁寧な表現となります。

ポジティブな案内文です。
【英文】I am delighted to inform you that Mr.A will join us as our CEO from next month.
【和訳】来月よりA氏にCEOとして私たち(わが社)に参加していただけることになりました。
【解説】日本語だとニュアンスをスマートに表現しにくいのですが、単なるニュースではなくポジティブなニュースを伝えるときには「I am delighted to inform you that~」や「I am happy to inform you that~」などとすると感情表現ができます。

ネガティブな案内文です。
【英文】We are very sorry to tell you that we will close down our business next month.
【和訳】残念ながら、来月店じまいすることになりました。
【解説】ネガティブな知らせの場合は、先頭に「We are sorry to~」や「I have a very sad news today」などを付けるとよいでしょう。

例文2:依頼・相談をする

ビジネスで頻出する、社外への見積もり依頼です。
【英文】Could you give me an estimate by the end of this month?
【和訳】今月末までに見積もりをいただけますか?
【解説】丁寧な依頼文として便利なのは「Could you ~」です。取引先や上司、顧客などに広く使えます。「Can you ~」や「Please~」は避けましょう。

見積もりの提出を延期してもらう依頼です。
【英文】Would it be possible to extend the submission date of this estimate?
【和訳】見積もりの納期を延ばしていただくことは可能でしょうか?
【解説】丁寧な依頼文には、「Could you~」以外にもいくつかあります。この「Would it be possible to~」もその一つです。仮定法で使う「could/would」は、丁寧な文章に頻繁に使われます。

見積もりの送付を催促するための依頼です。
【英文】I am sorry to rush you, but I am wondering if you could complete the estimate by next Friday?
【和訳】急かしてしまい恐縮ですが、今週の金曜日までに見積もりを完成していただけますでしょうか。
【解説】急ぎの依頼をするときは、「I am sorry to rush you, but~」のように一言加えるのが礼儀です。また「I am wondering if~」も丁寧な依頼文として有効です。

例文3:問い合わせをする

商品の納期に関する問い合わせです。
【英文】Could you inform us the earliest delivery date of your product?
【和訳】御社製品の最短の納期はいつになりますでしょうか。
【解説】問い合わせの場合も、「Could you~」の文のパターンを使えます。

取引先の新サービスの内容に関する問い合わせです。
【英文】I would really appreciate if you would send me some information on the new service.
【和訳】新サービスについて情報をいただければ幸いです。
【解説】あまり学校の英語の授業では学ぶことがありませんが、appreciateを上手く使えるようになれば、ビジネス英文メールは一人前と言ってもよいでしょう。ここでappreciateには「感謝する」という意味があります。仮定法を使っており、「○○であれば感謝するのですが…」という遠回しな言い方です。

支払い方法についての問い合わせです。
【英文】Can I pay it with check?
【和訳】小切手でお支払いすることは可能ですか?
【解説】ある方法や使い方が可能か否かを尋ねるのに、「Can I~」を使うことも多いです。この場合はCouldを使わなくても差し支えないでしょう。

例文4:苦情を言う

相手の見積もり(商品)に対する落胆をストレートに伝達した文です。
【英文】I am deeply disappointed with the estimate you gave me yesterday.
【和訳】昨日お送りいただいた見積もりについて、大変落胆しています。
【解説】最初に結論(見積もりに落胆していること)を伝え、その後にその理由や詳細、必要な対応について付け加えていきます。

クレームや苦情のときに使える単語「complain」を入れた文です。
【英文】I am writing you to complain about the estimate
【和訳】見積もりについてクレームをお伝えするため、メールをお送りしています。
【解説】「I am writing you to~」はお知らせに使える表現ですが、「クレームを伝える」という意味のcomplainを入れています。「クレーム」と言うとclaimが思い浮かびますが、これは「主張する」程度の意味しかなく、日本語の「クレーム」ほどのネガティブなニュアンスは含みません。

苦情の原因となった問題について、対応を求める文です。
【英文】I would appreciate it if you could improve the quality of the estimate as soon as possible.
【和訳】見積もりの質を可及的速やかに改善していただければ幸いです。
【解説】日本人の感覚だと、苦情を送るメールで「appreciate」を使うことに違和感を覚えるかもしれません。しかし、苦情を伝えることは問題解決の手段であり、自分の感情をぶつける手段ではありません。最後は生産的な対応の依頼で締めるのがスマートです。

例文5:謝罪する

スタンダードで広く使える謝罪の文です。
【英文】We apologize for any inconvenience this may cause.
【和訳】ご不便をおかけし、申し訳ございません。
【解説】ビジネスで謝罪メールを書く場合は、「We」を使うのが一般的です。この文は、業種や商品を問わずに使える汎用的な英文です。覚えておくとよいでしょう。

apologizeの代わりに「be sorry」を使った謝罪文です。
【英文】We are very sorry to annoy you for the estimate.
【和訳】見積もりの件でご迷惑をおかけし、申し訳ございません。
【解説】「be sorry」と言うと「~は残念だ」という意味で使うことが多いのですが、「I'm sorry.」が謝罪に使えるのと同じように、ビジネスでも謝罪メールに使うこともあります。

謝罪メールの締めに使えるお礼の言葉です。
【英文】Thank you in advance for your continuous support.
【和訳】今後ともご支援いただけますよう、よろしくお願いいたします。
【解説】「in advance」とは「前もって」という意味ですが、「Thank you」と組み合わせることで謝罪メールに使えます。相手に今後も支援してもらうことを期待し、そのことについて前もってお礼を伝えることで、ポジティブな形でメールを終えようとしているわけです。

例文6:お礼を言う

相手の返信に対するお礼として広く使える文です。
【英文】Thank you for your quick reply.
【和訳】早々に返信していただき、ありがとうございます。
【解説】相手の返信に対する返事をどう書けば迷った場合は、ひとまずこの表現を使ってから本題に入る形で問題ありません。「quick」の代わりに「prompt」もよく使います。

他企業との打ち合わせの後のお礼メールに使える文です。
【英文】Thank you so much for taking time to have a meeting today.
【和訳】本日はミーティングのお時間をいただき、ありがとうございます。
【解説】会議のために時間を取ってくれたことへのお礼を盛り込むのが一般的です。

「Thank you for~」以外のお礼の言い方も身に付けておきましょう。
【英文】I appreciate your kind advice.
【和訳】ご親切にアドバイスしていただき、ありがとうございます。
【解説】先ほども出てきた「appreciate」を使うこともできます。さらに「truly/deeply/greatly」といった副詞を追加すると、感謝の気持ちの強調を表現できます。

英語ビジネスメールの上達は『人まね』から

最初は英語のビジネスメールを作成するのに高いハードルを感じるかもしれませんが、慣れればスムーズに書けるようになります。むしろ文脈や話題が限定されているビジネスメールの方が、プライベートのメールよりも書きやすいかもしれません。

今回ご紹介した例文を覚えたり、同僚や上司のメールの書き方を学んだりと、メールの上達は『人まね』から始まります。どんどん真似て、さまざまなシチュエーションの英文メールを書けるようになりましょう。