English Bluebell~From the United Kingdom

2026.04.22

英国コラム

ブルーベル、青い鐘の名を持つ愛らしい花がイギリスにはあります。毎年4月から5月頃、茎を伸ばして青紫のつり鐘のような小花を咲かせます。イギリスでは古き森にこのブルーベルが咲くと言われています。その名は特別にイングリッシュブルーベルと呼ばれ、今ではちょっと希少価値の花になってしまいました。

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野生のヒヤシンスとも呼ばれるブルーベル。イギリスではブナの林の下に咲き乱れ、幻想的な光景を見せてくれています。ブルーベルの名を知ったのはキューガーデンでした。春になるとこのブルーベルが咲き乱れるキューガーデンのクィーンシャーロットコテージ。このコテージはキューガーデンのなかなかたどり着けないテムズ河の近くにあります。グレートパゴタと呼ばれる東洋の五重の塔ならぬ十重の塔の方向へ、少し歩いた場所にコテージはありました。

キューガーデンの地下鉄駅から最寄りのヴィクトリアンゲートから真っすぐに向かって18分ほど、コテージにたどり着くには1キロ以上は歩きます。この辺りは指定自然保護区の森。農夫ジョージとも呼ばれた国王とシャーロット王妃は仲睦まじく、夏の間キューの離宮で過ごしていました。素朴な外観のクィーンシャーロッテコテージは、キューの自然を愛したから建てられたもの。茅葺の屋根のコテージとブルーベルが咲き乱れる森は幻想的です。長く暗い冬を終えて春を迎え、日が伸びる初夏の訪れを教えてくれるブルーベルの花は、イギリス人の希望の風景なのかもしれません。

ブルーベルは気が遠くなる長い年月、他の種と交わることなく単一の植物として育ってきたそうです。今ではスパニッシュブルーベルの種がガーデン用に交配されましたが、とても繁殖力が強く在来種を脅かせる存在。スパニッシュブルーベルは色が淡く香りがありません。甘い香りがして、クリーム色の花粉がつり鐘のなかに見えるものがイングリッシュブルーベル。古来の種を保護する運動も始まっていますが、なかなかスパニッシュブルーベルの浸食を止めることはできないようです。

キューガーデンのイングリッシュブルーベルの原始の森があるクィーンシャーロットコテージ。いつもキューガーデンに着くとパームハウスからローズガーデンを抜けて細長い池へと向かってしまいますが、4月から5月はゲートから真っすぐにクィーンシャーロットコテージへ足を向けてみましょう。それも朝一番に。甘い香りが立ちのぼる青い妖精を探しに出かけてみます。


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