Below Stairs~From the United Kingdom
2026.01.10
イギリスの大きな邸宅の地下のスペースはビロウステアーズと呼ばれています。この地下ではその邸宅の使用人たちが働いています。イギリスの人気ドラマ「ダウントン・アビー」ではその様子がよくわかりました。ロンドンのテラスハウスと呼ばれている集合住宅にも地下が見える部屋をよく見ましたが、郊外の邸宅とはその大きさは全く違います。ではビロウステアーズとはどんなところなのでしょうか。
ビロウステアーズは下級使用人たちがおもに仕事をしている場所でした。洗いものを担うスカラリーメイドがその一番下っ端と言われています。つらい水仕事、それもずっと続くのです。手の感覚はなくなり、ひびとあかぎれはあたりまえです。そして洗濯をするランドリーメイドの仕事もその邸宅が大きいほど洗濯は増しますが、こちらは設備を充実させていたようです。
使用人たちでも上級使用人と呼ばれている、バトラー、ハウスキーパー、シェフたちが要になってその家の家事を執り行っています。ハウスキーパーが女性使用人トップで、その日の仕事の指示を出しています。ハウスキーパーはその家の女主人の代わりもできるほど熟練していなければなりません。結婚していなくても「ミセス」と呼ばれ、女主人のために従事していました。日本語にするとただの家政婦のようですが、家政婦長が日本語では相応しい呼び方です。
昔々、元家事使用人だったマーガレット・パウエルという女性がいました。15才からランドリーで働き、その後メイドになったようです。実家での料理経験があったためキッチンメイドとなり、やがて結婚相手にも恵まれます。マーガレットは牛乳を配達していたアルバート・パウエルと結婚し、子宝にも恵まれます。息子は大学まで進んだところで、自分が何の教養もないことに気づくマーガレット。50代、そこから勉強を始めます。夜間の学校に通い、哲学や歴史を学びます。そして1968年に「ビロウステアーズ」を出版します。家事使用人として垣間見たことを書き綴り、大人気となりました。
これがドラマ「ダウントン・アビー」の元になったと言われています。上階ではなく階下で働く人々にスポットライトはもっと先になって当てられますが、マーガレットが一念発起して学び、自分の体験を後世に遺したのですから、何事も始めることに遅過ぎることはないようです。
※写真はドラマ「ダウントン・アビー」の撮影に使われたハイクレア城。ロンドンから列車を乗り継いで2時間ほどなのですが、中に入れるのは限られた期間で、そしてとてもお高い入場料のようでした。

