Foots Cray Meadows~From the United Kingdom

2026.03.31

英国コラム

フッツクレイメドウズ。聞き慣れない英語です。ここはロンドン郊外、南東部にあるベクスリーにある広大な公園と森林地帯です。今は自然保護区にもなっています。

  • Foots Cray Meadows~From the United Kingdom

フット―脚の複数形でフッツ、クレイは泥、メドウズは草地の意味があります。フッツクレイメドウズと名づけられたこの場所には、18世紀に建てられた邸宅があったようです。その邸宅は1949年に火災に遭い、3年後には取り壊されてしまいました。いろいろな一家の手に渡り、そしてまた長い間空き家になっていた邸宅。売却されて持ち主が決まっても、海軍の訓練施設として接収されてしまい、邸宅は荒れ果てたまま。そして火災で消失してしまいます。

邸宅はなくなっても庭園は残りました。90ヘクタール近いその土地は今や公共の緑地。イギリスのすごいところはロンドンの中心でもスクエアなどの緑地や、王室の所有の広大な庭園や公園を今にも残しているところです。緑化を大切にする気質は日本も見習いたいところです。フッツクレイメドウズの水辺も素晴らしい景観で、ダレント川の支流のクレイの小川が流れ、5つの輪が美しいファイブアーチ橋が見事です。季節を彩る植物たち、そして水鳥が憩う景色はいつまでも見ていたいものです。

意匠家・工芸家のウィリアム・モリスが新婚時代に暮らした家も、フッツクレイメドウズの近くにあります。モリスもクレイというテキスタイルデザインを残していますので、ここを散策していたのでしょうか。自然を愛していたモリスがこの地を気に入っていたこともよくわかります。美しいものは自然のなかにあり、草木、花々、鳥やウサギなどの小さな動物をモリスは愛していました。自分の手を介したそのデザインたちは、美しく創られなければならないとモリスは考えていました。細部にまでこだわったモリスのデザイン、それは望ましい方向で並び、紡がれています。花も葉も枝もモリスが魔法をかけてしまいました。

フッツクレイメドウズへ出かけてみたくなりました。調べてみたらロンドンのチャリングクロス駅から列車で40分弱、最寄り駅から歩いて20分ほどの場所です。お天気の好い初夏の日を選んで散策に出かけてみましょう。