Jacob Epstein~From the United Kingdom

2026.04.15

英国コラム

ジェイコブ・エプスタイン。その名を聞いたことがありますか? 実はイギリスでは著名な彫刻家で、大英帝国勲章も授与されている実力者です。実はエプスタインの彫刻は、ロンドンのオックスフォードサーカス辺りを歩いている時に見つけたのが始まりでした。

  • Jacob Epstein~From the United Kingdom

キャベンディッシュスクエアを左手に見て歩いていると、右の壁の高いところに不思議な像が掛かっています。手を十字に広げた子どもの後ろに後輪を抱いた女性。これは聖母子だと気づきます。その場所はディーンズミューズと呼ばれ、元々馬屋だった建物を改造していたようです。この印象的な聖母子像、「マドンナとチャイルド」を製作したのがエプスタインでした。

エプスタインは1880年ニューヨークの生まれで、イギリス人ではありません。ニューヨークの美術学校に通い画を描き始めます。ブロンズの鋳造所の仕事に就き、彫刻の授業を受けました。パリに渡り近代彫刻家として名を馳せたオーギュスト・ロダンのスタジオに出向きましたが、タイヤブランドの創業者マーガレット・ダンロップにロンドンへ行くことを勧められます。そして渡英したエプスタインは、マーガレット・ダンロップと1906年11月に結婚しました。

1908年にかけてロンドンの中心部のストランドにあった、英国医師会の建物に18体もの大型彫刻を製作したエプスタイン。けれど妊娠中の母親像と裸の男性像は人々の非難に遭います。エプスタインの初期の作品たちは荒削りで前衛的なスタイルだったので、長く迎合されることはなかったようです。1910年にイギリスに帰化したので、エプスタインはイギリスの軍にも徴用されました。

第二次世界大戦後エプスタインの彫刻の評価が高まりつつありました。70代になって久しぶりの公共記念碑の制作を依頼され、ディーンズミューズで見つけた「マドンナとチャイルド」が1953年に完成します。「マドンナとチャイルド」は高い評価を得て仕事の依頼も増えていきました。

イギリスの街を歩いていると、いろいろな彫刻に出会うこともあります。彫刻に出会ったらふと足を止めて目をやってください。エプスタインの最後の彫刻「ザ・ラッシュ・オブ・グリーン」、躍動的なその作品は地下鉄ナイツブリッジの近くエディバラゲート近くにあります。

※写真はディーンズミューズの「マドンナとチャイルド」