Come and visit TATE BRITAIN-John Everett Millais(1829-1896)
2025.05.27
英国の画家と作品をどのくらい知っていますか?
最初に絵画を見た時の無垢な感動。それを大切にして美術館に足を運んでみましょう。
ここではロンドンにあるテート・ブリテンが収蔵する作品をご紹介します。詳細はテート・ブリテンのサイトをご覧ください。
この画はいつもテート・ブリテンに行くと出会えます。小川に浮んで流れてゆく「オフィーリア」の画で有名なジョン・エヴァレット・ミレイが1874年に描いた。タイトルになっている北西航路は、カナダの北極を経由して北米に向かう航路です。イギリスを発ってこれからアメリカに向かうのでしょうか。厳しい顔をした老人男性の手を、愛娘がなだめるように重ねています。とても美しい画なのですが、父親らしい老人の男性のいら立ちがにじみ出ているのが、つらい航海なのだと示唆しています。17世紀の初め頃か北西航路はくり返し行われていたそうで、厳しい北の海の航海は危険が伴い、氷に閉じ込められた船もありました。
ミレイはラファエル前派の創設メンバーの1人として画壇で画を発表しましたが、その画は痛烈な批判を受けました。その後に描かれた「オフィーリア」では自然の綿密な描写と、オフィーリアの美しい姿を見て人々はミレイを賞賛し始めました。ラファエル前派の中では一番の成功者となったミレイは、1853年にはロイヤルアカデミーの準会員となり、1885年にはヴィクトリア女王から準男爵の称号を与えられます。
この画の窓から見える海は他の帆船も見え、とても穏やかそうです。けれど老人の憔悴といら立ちが、この先行きが心配になってしまう1枚です。テーブルに置かれた回路図、壁に架かった画、椅子の脇に置かれたグラス。何か暗示があるようですが、読みとることはできません。それでも女性の美しいドレスとその佇まいに、いつも目を留めてしまう作品です。この大きな油彩画はロンドンのテート・ブリテンにあります。
The North-West Passage
John Everett Millais(1829-1896)