The Platinum Jubilee Beacons~From the United Kingdom

2025.06.02

英国コラム

2022年6月、イギリスではエリザベス女王陛下の即位70周年を記念して盛大な催しがくり広げられました。4日間にわたりイギリス国民たちと楽しむために行われたイベントの数々。その中にプラチナジュビリービーコンというものがありました。ビーコンは灯火。元々は灯台などの目印の灯りだったようですが、イギリス君主として70周年のお祝いの日はイギリスをはじめ、コモンウェルスの国々で3000以上の灯火が焚かれました。

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2022年6月2日木曜日の午後9時45分、イギリス国内で灯火が点灯されました。イギリスの6月は陽が高く、夜の10時頃にやっとうす暗くなってきます。この夜エリザベス女王もウィンザー城でプリンシパルビーコンの点灯式を行います。光はウィンザー城の芝の緑を伝い、インスタグラムの動画はつないだように、バッキンガム宮殿の外にあるツリーオブツリーの大きな木を光で満たしました。

このプラチナジュビリーの公式ビーコンはガスで自立したもの、金属のシールドをつれた火鉢のもの、古くからのかがり火のものとありました。1897年、ヴィクトリア女王の即位60周年を祝ったダイヤモンドジュビリーでもビーコンは灯されました。1977年のエリザベス女王即位25周年、2002年の即位50周年、2012年の即位60周年と女王陛下のシルバー、ゴールデン、ダイヤモンドジュビリーとその度に人々はこのビーコンで祝意を示しました。光は希望となって、もっと女王の治世が続くことを私たちは期待していました。2年にもわたるパンデミックの収束の喜びもこの灯には込められていた気がしてなりません。

エリザベス2世としての最後の大きな責務を果たし、女王陛下はその3カ月後に天に召されました。6月の華やかな祭典とは変わり、2022年9月19日に国葬が行われます。荘厳な国葬と新国王と新皇太子らとともにイギリス軍の兵たちによる行進。それは見る者を釘付けにしました。特に軍楽隊によるヨハン・ハインリヒ・ヴァルヒの『葬送行進曲』の壮大さ、その力強い音に鼓舞されながら、でも止まらない涙を拭う人々も多く見られました。ビーコンが灯されて3カ月、誰もが信じられない気持ちでエリザベス2世を見送りました。夏が終わろうとする頃のとても悲しい出来事でした。そして2022年9月チャールズ国王の新しい治世が始まりました。

※写真は2022年の女王陛下のプラチナジュビリーのお祝いのビーコンが焚かれたあるイギリスの村です。