Thomas Lawrence~From the United Kingdom
2025.06.08
英国史雑学
昔、萩尾望都氏の名作ポーの一族の「ランプトンは語る」のなかで、画家トマス・ロレンスの名を知ります。それは「The Red Boy」を模写したお話でした。画家トマス・ロレンスの作品「The Red Boy」を後で観ると、「ポーの一族」のそのエピソードも思い出されます。
ロレンスは描き出す色彩を巧みに操りそのスキルが高い画家として、宮廷画家としての王族の肖像画も残しています。ジョージ3世の威容、その后のシャーロット王妃の優美な姿、その長男のジョージ4世の堂々した姿をはじめ、数多くの貴族たち、ローマ教皇の姿までも描きました。1791年にはイギリスのロイヤルアカデミーの準会員となり、その翌年ジョシュア・レイノルズが亡くなるとジョージ3世から王室の首席画家に任命されます。
ロレンスは生涯独り身でしたが、思いを寄せる女性たちや生活を共にする女性たちの存在はありました。最後に共に暮らした女性が亡くなった数カ月後にロレンスも60才で急逝します。画にかける時間が長く、未完の作品が数多く残されてしまいました。ジョージ4世もロレンスが亡くなった半年後に逝去されます。あまり評判のよくなかった国王ジョージ4世でしたが、ロレンスのおかげで堂々たる君主らしい姿が残されました。完成されなかった1枚も今もナショナルポートレイトギャラリーで観ることができます。
※写真はロレンスの描いたジョージ4世の肖像画。戯画に描かれたジョージ4世とは別人の凛々しさです。