Crystal Palace~From the United Kingdom
2025.11.13
英国史雑学
19世紀のヴィクトリア時代の1851年にロンドンで、世界初めての万国博覧会が開催されました。ロンドンのハイドパークがその会場。そこに建てられたのはガラスの宮殿、クリスタルパレスでした。ジョセフ・バクストン設計のこのパレスは、ガラスと鉄骨で造り上げた建築物の傑作です。その全長563メートル、幅138メートル、30万枚以上のガラスで造られたクリスタルパレスに、当時の人々はその巨大さとガラスの美しさに驚嘆しました。
もちろんクリスタルパレスはロンドン万博の目玉。万博開催の中心人物に、ヴィクトリア女王の夫君のアルバート公が名を連ね、女王一家も来場されました。5月1日から10月15日までのロンドン万博の会期中に600万人以上が来場し、1日平均の来場者数が4万人を超えていたのですから、大成功のロンドン万博となりました。
またクリスタルパレスは実はプレハブ建築の先駆け。その安全性が疑問視されるところでしたが、風や雨に耐え会期終了まで無事に持ちこたえました。安全を危惧する声に、設計者のバクストンは事前に原寸大の模型を造り、実証実験を行ったとも言われています。
ロンドン万博後は解体し移築されたクリスタルパレス。そこでも多くの来場者が訪れましたが、やがてその人気も衰えます。クリスタルパレスの持ち主が破産し、政府のものになり、戦時下では軍が使用したりしていましたが、 1936年火災で全焼し、その姿は消えました。華やかだったロンドン万博のよすがだったクリスタルパレス。今はもう何もその痕跡は残ってはいません。

