Burghley House~From the United Kingdom

2025.04.29

英国史雑学

1555年ウィリアム・セシルによってこのエクスター侯爵邸、バーリーハウスと建てられました。ウィリアム・セシルの名はどこかで聞いたことがあるかもしれません。その時ウィリアム・セシルはまだ政府高官です。エリザベス1世の治世を支えた功績で男爵となり、バーリー卿と名乗ります。一度はロンドン塔に送られその命運も尽きかけようとしましたが、政治の風向きを読む力を持っていました。ロンドン塔から解放された後、巧みに時勢を読み即位前からエリザベス1世の補佐を務めあげます。ウィリアム・セシル没後は息子のトーマス・セシルが継ぎ、1605年エクスター伯爵となりました。

バーリーハウスの外観は当時のまま残されています。多くの塔が並び、その壮麗さが目を引きます。80以上の部屋とホールの数々が設えられ、17世紀にはイタリア人の壁画家アントニオ・ヴェリオによる「天国の部屋」が造られました。「天国の部屋」へは「地獄の階段」から続いているようですが、地獄の大きく開いた口から逃げ惑う人たち、死神に鎌を振り下ろされる人たちと何とも恐ろしい階段です。
 
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20世紀になると、第6代エクスター侯爵の時代になります。第6代公爵は映画「炎のランナー」に登場し、ちびまる子ちゃんの花輪くんばりのお坊ちゃま。颯爽と登場していたリンゼイ卿ディヴット・セシルは、第6代エクスター侯爵はケンブリッジ大学の陸上選手でした。1924年のパリオリンピックで初出場し、この大会ではメダルを逃しましたが、1928年のアムステルダムオリンピックでは400メートルハードルで金メダリストとなります。

リンゼイ卿は映画が公開された年に没しています。リンゼイ卿は男子の継承者に夭逝され、実子に爵位を継がせることはできませんでした。けれど四女のヴィクトリアがバーリーハウスに戻ってくることになります。侯爵が亡くなった翌年、思い出深いバーリーハウスに住むことになりました。結婚して家を出たヴィクトリアにとって、その家にまた住めるようになる日がくるとは夢のようなことだったようです。

余談ですが、映画「炎のランナー」でリンゼイ卿を演じたナイジェル・ヘイバーズも名家の出身です。その颯爽としたスタイルと、cut-glass accent―貴族のような英語の発音。まさにリンゼイ卿のはまり役でした。70才を過ぎた今もあのままの素敵なまま歳を重ねている姿を、YouTubeで観ることができます。ナイジェルの英語はとてもわかりやすいので、ぜひ一度聞いてみてください。