Wellington Boots~From the United Kingdom
2025.05.08
イギリス貴族が郊外の生活で一番必要とするもの、それはウエリントンブーツ。王室ドラマ「ザ・クラウン」のなかでサッチャー元首相夫妻が、エリザベス女王のお招きでスコットランドのバルモラル城に滞在した時に、ブーツを持って行かなかったエピソードがありました。ハイヒールでは田舎の暮らしはできません。貴族の人たちの必需品、ウエリントンブーツとは???
ウエリントンブーツは長靴。日本ではゴム長靴、防水された長靴をイギリスではウエリントンブーツと呼んでいます。元々軍用の乗馬のブーツを改良したもので、その名は公爵に由来します。それが初代ウエリントン公爵が着用したものでした。ウエリントン公爵はロンドンの靴職人に、ヘッセンブーツと呼ばれるブーツの改良を依頼しました。できあがったブーツは余計な装飾がなく、実用的、それでいてスマートでした。公爵はとても気に入り、以来それをウエリントンブーツと呼ばれ人気になったそうです。
でもこのブーツはやわらかな仔牛革で作られていました。さてゴム長靴になるのはいつのことでしょう。それは第二次世界大戦でイギリスの軍の兵士たちに支給されたのが始まりのようです。浸水した戦場ではウエリントンブーツは大活躍。兵士たちの口コミもあって、戦争終結前にウエリントンブーツは大人気になります。
1955年ハンターブーツ社が販売した緑色のブーツ。そのブーツを皇太子と婚約中のダイアナ元皇太子妃が履いています。それを見た人たちはハンターブーツを買い求めたという逸話も残っています。エリザベス女王もご愛用で、ハンターブーツは王室御用達になっています。くまのパディントンが履いているブーツもウエリントンブーツ。でもパディントン駅にいるパディントン像はまだ裸足です。クリスマスプレゼントでもらうのはまだもう少し先のことだったようです
スコットランドのホテルの玄関にはたくさんのウエリントンブーツがありました。お母さん羊の脚にもウエリントンブーツ。生活必需品なのがよくわかります。