Shaftesbury Memorial Fountain~From the United Kingdom

2025.05.23

英国コラム

さてシャフツベリー・メモリアル・ファウンテンとは何でしょう? ロンドンへ行かれたら1度はここを見たことがあるはずです。その場所はロンドンの中心地、ピカデリーサーカスと言ったらおわかりになるかもしれません。あの真ん中にあるエロス像が、シャフツベリー・メモリアル・ファウンテン、噴水の名まえなのです。

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でもトラファルガースクエアの噴水に水があふれているのを見たことはありますが、ピカデリーサーカスのこの噴水には水ではなく、いつも人があふれているだけです。このシャフツベリーの名は伯爵の名から由来しています。第7代シャフツベリー伯爵の惜しみない慈善事業を記念した像を造ることになり、このエロス像は建てられました。でもこのエロス像、伯爵の功績とは違い、不謹慎だと人々は感じていたそうです。

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ピカデリーサーカスの像は一般にエロス像と呼ばれていますが、この作者の彫刻家アルフレッド・ギルバートは、エロスの双子の弟、アンテロスを思い浮かべて造ったそうです。愛の神のエロスには愛の衝動を感じさせます。アンテロスは返愛の神で、片思いの相手を振り向かせるために矢を射って、相思相愛にします。どちらも愛の自然なカタチなのですが、貧民たちの救済に尽力したシャフツベリー伯爵を記念する像とはかけ離れて感じられたのでしょう。

愛にはエロスとアガペーという概念があります。愛には見返りを求める愛のエロスと、無償の愛のアガペーの概念があり、人を愛する思いがエロスなら、神への信仰への愛、無垢な思いがアガペーです。シャフツベリー・メモリアル・ファウンテンがエロス像ではなく、アガペーの像だったら、伯爵の貢献には相応しかったのでしょう。そのためかピカデリーサーカスのエロス像は、いったん取り除かれることになってしまいました。その後も地下鉄工事や戦争のため何度もエロス像は撤去され、1948年にやっと今の場所に安住することになりました。

シャフツベリー・メモリアル・ファウンテン、ピカデリーサーカスを何度も通っていますが、水は流れているのでしょうか。次に通ったらよく見てみましょう。