Back Garden イギリスのお家には裏に美しいお庭があります

2025.05.20

異文化理解

日本ではよく中庭と呼ぶ庭が出てきますが、イギリスではback garden-裏庭があり実はこちらがメインのお庭です。イギリスのお家は玄関周りに小さいお庭があるだけと以前は思っていましたが、実はその家の裏に何倍もの広さのお庭があったのです。

普段は見えないバックガーデン、またはバックヤードとも呼んでいるイギリスの隠れたお庭。それはどんなものなのでしょうか。日本の都会のお家では、広大なお庭は夢のまた夢。でもイギリスではロンドン近郊にも、このバッグガーデンやバックヤードを持っているお家があるようです。

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イギリスのフロントガーテンとバックガーデンって??

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イギリスの一戸建て住宅-デタッチドハウスと呼ばれているものは、公共の場としてのフロントガーデン-前庭を必要とします。車や人の出入りのためのフロントガーデン。そこは訪れる人たちを歓迎する意味で美しくする必要が出てきます。狭くとも花や緑で彩り、その家の印象を好くしています。

バックガーデンはその家に住む人たちが憩うお庭で、プライベートな庭です。その家の人たちの個性を詰め込むことができる場所でもあり、イギリスの人たちはガーデニングに精を出しています。私たち外国からの旅人がこのバッグガーデンを見る機会はほとんどありません。でもついつい想像してしまうのです。このお家のバックガーデンはどんなものでしょう。イギリスの人たちのガーデニングの方法について調べてみました。

※フロントガーデンはその家に来る人たちをお迎えする場所。草花で美しく演出されています。


バックガーデンを手間なく上手に造るアイディアとは???

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自分なりの居心地の好いガーデンを造りたい、イギリス人のガーデンへのこだわりは人それぞれ。例えばガーデンのない集合住宅に住んでいる若い人たちも、鉢植えの花を飾ったり、プランターにハーブなどを育てたり… いつかはガーデンのある家を持つことを夢みて、自然と家に植物を取り込む工夫もしているようです。やっとガーデンのある家を持ち、さあどうやってガーデニングを始めようかと考えている人たちもいます。そんなビギナーたちのアイディアをのぞいてみました。

ガーデニングは一朝一夕にはできません。まずは植える樹木を選びます。手間のかからないもの、高く育つものか、低く剪定しやすいものにするか、自分の好みで選んでいます。緑の樹木の選定はガーデニングの骨格を築く過程です。全体の流れを考えて、大きい葉がたくさんある緑は見映えも好さそうです。常緑のもの、落葉するものとバランスよく造っていきます。いろいろな種類の蔦を絡ませるのも、それぞれの緑が楽しめます。ローズマリーは紫の小花をつけ、また食材の香りづけにもなるのでおススメな花。蔦もローズマリーも手間いらずで、枯れることはほとんどありません。

それからガーデンチェアとテーブルの配置を決めます。イギリスの大きなバッグガーデンにはサマーマウスという小部屋もあるのですが、これもキットで売っているようです。最初は木のベンチと小さなテーブルを置いて、緑を育てながら、その周りに花を植えていきます。薔薇を育てるのはハードルが高そうですが、簡単な種から始めてみても好いかもしれません。スィートピー、エニシダ、デイジー、タチアオイ、ラベンター、ユリ、オキザリスと季節毎に楽しめる花々を選ぶと長い間花々を楽しめます。花の育成もトライアル&エラー。枯れてしまってもまたトライすることが大切です。

また狭いガーデンなら直線より曲線すると、ガーデンに広がりを持たせられるそうです。イングリッシュガーデンは作為なく自然に植物たちを配置してくのがモットー。ハンギングバスケットやフェンスを使って、自然なカタチで花々を彩っていくのが基本のようです。

そしてお子さまのいるお家なら、バックガーデンにはトランポリンが必ずあります。バーベキューを楽しむことが好きなイギリス人たちは、気候の好くなる5月から6月にはバックガーデンでバーベキューを始めます。確かに屋外で食事をすることが好きなイギリス人たち。少しの雨の日でもバーベキューは諦めません。みんなで集まって食事することも大好きだから、雨でもバーベキューは決行するようです。

※集合住宅でもプライベートガーデンを持っている物件もあります。中を見たくても住人しか入れないよう施錠されています。


バックガーデンを見学したい場合はオープンガーデンへ

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イギリスのバックガーデンを見る機会、それは知り合いでもいない限り難しいところです。でも一般の人たちが丹精込めたバックガーデンを訪れる機会が実はあるのです。The National Garden Scheme-ナショナルガーデンスキームという団体が、毎年初夏にガーデンを一般公開するシステムを考え出していました。

1927年に設立されたナショナルガーデンスキーム。毎年3月に審査員たちが選りすぐったガーデンをイエローブックという冊子で紹介します。選ばれたオープンガーデンでは入場料をとって、ガーデンへ入場させます。その入場料は看護協会に寄付されます。このシステムはガーデンを見学できるうえ、チャリティに参加できるというイギリス人の心のツボを見事に押さえてしまいました。

またガーデニングをする人たちは、このイエローブックに自分のガーデンが載ることが目標です。ただ美しいだけでは選ばれないようです。その人らしいガーデニングを審査員たちは求めているようです。ガーデニングすることでその人の心と身体を健やかにすることも、ショナルガーデンスキームは目指しています。庭木や草花を育て上げることで生きがいも生まれ、またその自分の造ったガーデンで癒されもします。

イギリスへ行かれなくてもナショナルガーデンスキームの公式サイトでは、バーチャルガーデンを動画で見せてくれています。鳥の声を聴き、緑と花々を見ていると、そこの風も感じられそうです。人の営みは自然の中にこそあるのだと気づかせてくれます。数分間のバーチャルガーデンがインターネット上で楽しめます。

※写真は意匠家・工芸家のウィリアム・モリスの住宅だったバックガーデン。ここはナショナルトラストから見学を申し込めます。


イギリスの暮らしの奥深さはバックガーデンに

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ロンドンに住むイギリス人の友人のソーシャルメディアで、バックガーデンの写真をよく見ます。そこには季節の美しい花々、遊ぶ子どもたちの姿があります。椅子に座って本を読んでいたり、ベリーの実を取っていたり、ランチらしいテーブルが見えたりしています。あのパンデミックでロックダウン中には、子どもたちがバックガーデンで勉強している姿もありました。

また日本では家の方角を気にしますが、イギリスの住宅は全く方角を気にしないそうです。それはイギリスでは日照を気にしないからとも言われています。晴天は少なく、真冬の朝は遅く夜は早いので、明るい時間が限られています。南にこだわることもなく、敷地の後ろに広いガーデンを造るようにして、隣との距離を置きます。住宅の前は公道に面し、ここにはフロントガーデンです。住宅地は同じように造られるので、日照を遮るものもなくガーデニングに支障はないようです。

また家から見えるガーデンを風景として、取り入れて楽しむことも忘れません。簡単に増設できるコンサバトリーは、ガーデンに面した温室のようなスペースで、バックガーデンをよく見える場所に増設したりしています。元々コンサバトリーは南方の植物を育てるための温室でしたが、今ではバックガーデンを眺めて寛げるスペースになっています。

バックガーデンはその家の人たちの大切な場所。素敵なバックガーデンを造ることで日々の暮らしを彩り、人生を豊かにしたい願いが込められているようです。

※白い枠のコンサバトリーはバックガーデンに面して建てられています。建築基準が厳しくないので簡単に増設できるようです。