Queen Victoria's Toilet at the V&A Museum~From the United Kingdom

2025.11.07

英国史雑学

ロンドンのサウスケンジントンにあるヴィクトリア&アルバート博物館へは何度も訪れていますが、思いもよらない場所を見つけました。それは女王のためのおトイレ。それも来館者も使っていいというおトイレなのです。

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ヴィクトリア&アルバート博物館は19世紀に開催されたロンドン万国博覧会後に、その展示品を収める博物館として建設を計画されました。大成功を収めたロンドン万博の収益が博物館設立の追い風となります。1857年6月にサウスケンジントン博物館の名で開館となりましたが、ヴィクトリア女王のこの博物館への願いは、夫君のアルバート公のロンドン万博での功績を称え、この博物館にアルバート公の名を冠することでした。しかしサウスケンジントン博物館はその名のまま、1861年にアルバート公は急逝されます。

1899年、ヴィクトリア女王の最後の公の場が、この博物館の新館オープニングセレモニーだったと言われています。その時に博物館の名称が今のヴィクトリア&アルバート博物館に変えられることになりました。女王自身は強くアルバート公の名だけを冠したいと主張しましたが、説得されてお考えを変えたようです。1899年5月17日水曜日午後4時45分にオープニングセレモニーが始まります。ヴィクトリア&アルバート博物館と名を変えた礎石を、ヴィクトリア女王が据えられ、「I trust it will remain for ages a monument of discerning liberty and a source of refinement and progress.―それが長い間、改善と進展の自由の記念碑となり、洗練と進歩の源であり続けることを、私は信じています」と宣言されました。

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新しいヴィクトリア&アルバート博物館では、女王陛下がご来館された際に使われるトイレを博物館の奥に設置しました。博物館内をご覧になったヴィクトリア女王は、ミケランジェロの「ダヴィデ像」の原寸の複製を前にしてショックを受けられたそうです。その後「ダヴィデ像」にはイチジクの葉が掛けられたそうですが、今は取り払われています。

さて果たして、女王陛下は特別に設置されたおトイレを使われたのでしょうか。博物館の奥にある隠された建築の粋。ヴィクトリア&アルバート博物館ご来館の際にはぜひ探してみてください。女王陛下のためのトイレットはタイルの1枚1枚、目が離せない場所です。