Regalia~From the United Kingdom

2022.10.08

英国コラム
  • Regalia~From the United Kingdom

またまた難しい英単語です。2022年9月のエリザベス2世の国葬では、BBCのニュースなどで聞き慣れない英単語を耳にしました。例えば、funeral(葬儀)、coffin(棺)、seven decades(70年間)と何度も聴こえてきました。特にfuneralはthe state funeralで国葬の意味。このfuneralの発音は難しいので、辞書サイトなどを活用して耳で何度も確認してみてください。またcoffinは-The dazzling crown which sat on the Queen’s coffin(女王の棺に置かれたまばゆい王冠)と、BBCのニュースタイトルになっていました。さらにdecadesも聞き慣れない英単語ですが、これは10年間という期間を意味する英単語decadeの複数形。7を付けて70年間の治世を表しています。

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さてregaliaとは何でしょう。この言葉はラテン語からの派生で君主の象徴となる物を意味しています。日本の天皇陛下も三種の神器をお持ちですが、イギリスの君主の象徴はインペリアルステートクラウン(大英帝国王冠)、王笏、宝珠の3つ。これはエリザベス2世の棺の上に確かに置かれていました。

スコットランドのバルモラル城で旅立たれたエリザベス2世。バルモラル城で棺に納められ、お馴染みのお店のあるバラター村を通り、車でエディンバラへ向かいホリールードパレスに到着。パレス内の王座の間に一晩安置され、翌日月曜日の午後にセント・ジャイルズ大聖堂で向かわれ、一般の弔問の人々を迎えます。火曜の午後には空路でロンドンへ。雨の中バッキンガムパレスへ向かわれ、エリザベス2世の棺は執務に明け暮れたバッキンガムパレスで最後の夜を過ごされます。翌日からウエストミンスターホールで弔問の人々を迎えることになります。ウエストミンスターホールから棺の上にはインペリアルステートクラウンが置かれました。

9月14日水曜日からの一般弔問。長い長い沈黙の弔問の列は続きます。そしてエリザベス2世の棺の周りには寝ずの番をする衛兵たちが付き従い続けます。スティックで床を突くダブルタップの音で衛兵たちは交代します。時にはチャールズ国王とアン王女たちも守りに立ちます。そしてウィリアム皇太子をはじめ女王の孫たちも警護にあたります。弔問の人々の列は国葬当日の朝まで続き、そして国葬へとウェストミンスター寺院に向かいます。この時から棺の上にはインペリアルステートクラウンに加え、王笏、宝珠が置かれます。海外からの賓客たちための国葬の後、ロンドンを棺の列は行進し、そしてウィンザー城へ最後の旅へ。

ウィンザー城の葬儀は女王の家族と仕えた人々たちのためのもので、女王の愛犬と愛馬も行列を送ります。公のお別れと分けられたミサの最後、インペリアルステートクラウン、王笏、宝珠のregaliaは棺から降ろされます。チャールズ国王が棺に軍旗を置きます。この時の説明が―King Charles laid a military flag upon the coffin before the Wand was broken.(チャールズ王は杖が壊れる前に、棺に軍旗を立てました)。そして侍従長がWand of Office(戒めの杖)を2つに折り、君主としての任務を終えたことを報せ、棺は地下に静かに降りていきます。伝統的な哀悼曲「Sleep, Dearie, Sleep」のバグパイプが礼拝堂に響きます。眠りを誘うやさしいバグパイプ音色とregaliaを手放されたエリザベス2世。その長い旅と人生を終え、ウィンザー城で永遠の眠りに就かれました。