Bustle~From the United Kingdom

2022.10.31

英国史雑学

かつて女性たちは長いスカートを履き、その下にバッスルと呼ばれるスカートの形を整えるものを入れていました。18精機から19世紀は、女性たちの服飾もいろいろと変遷します。クリノリンと呼ばれる大きく広げたスカートが流行ると思えば、バッスルのように腰高に見せるスタイルが流行ったりしていました。

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バッスルは1830年からクリノリンの流行からとって代わります。クリノリンより腰を強調したこのスタイルは、淑女たちの新しいプロポーションを表現しています。バッスルはクリノリンより幅を利かすことがないため、扉を出入りする時には少しは楽になりました。意匠家・工芸家でもあるウィリアム・モリスが新婚時代に暮らしたレッドハウスは、機能的にも造られていたため、部屋の扉は狭く、女性たちはクリノリンでは難儀したというお話も残っています。

それでもまた大きなクリノリンの流行になり、クリノリンが衰退しまたバッスルの流行と、19世紀のスカートはバッスルとクリノリンの流行の行き来をします。女性たちは長いスカートをどうやって魅力的にするか、試行錯誤だったのでしょう。20世紀になればスカートの長さもいろいろな選択肢も生まれ、男性と同じようにズボンも履くようになります。長いスカートだけの時代の最後に、1830年からのバッスル、1840年からのクリノリンの流行に続き、1868年バッスル再流行、1882年のバッスル再流行と、腰を特に強調したバッスルの流行はくり返されていたようです。

余談ですが、萩尾望都氏の名作「ポーの一族」の中のでシーラ夫人が、医師のクリフォードに砕かれようとする時の流行はバッスルでした。「ポーの一族」はそのお話もすばらしいものですが、服飾史に詳しい萩尾望都氏ならではの世界が忠実に描かれている作品です。