Diana Frances Spencer~From the United Kingdom

2022.06.29

英国史雑学

ダイアナ・フランシス・スペンサー。このお名まえは1961年に誕生された後に付けられたもの。ダイアナ元皇太子妃が突然この世を去って25年が経ちます。生前プリンセスダイアナをニュースなどで観ていた私たちも、その年月だけすっかり歳をとってしまいました。佳人薄命。プリンセスダイアナの時間は止まったままで、ウィリアム王子たちのお子さまたちを抱きとめることもできません。

プリンセスダイアナが皇太子妃として来日したのは3回。2度目は天皇即位の礼の式典へのご参加、3度目は英国赤十字の副会長として単身の来日でした。1度目の1986年の来日はご成婚から5年後の輝きを放っている頃で、日本では大騒ぎになりました。その時の美しいお姿に日本人は魅了され、その来ているお洋服もとても話題になりました。来日された1986年5月8日から5月13日の6日間を振り返ってみましょう。

  • Diana Frances Spencer~From the United Kingdom

1986年5月8日木曜日
初の日本公式訪問に降り立ったのは羽田空港ではなく、夜の大阪、伊丹空港。夜に映える白のピンストライプのコートドレス、サファイアのイヤリング、クラッチバッグ、そして同色のセーラーハットの軽快なスタイルでタラップを降りられました。そのまま京都迎賓館へ向かわれ、日本での第一夜を過ごされました。

1986年5月9日金曜日
この日は好天に恵まれ、日の丸をアレンジした艶やかな赤いドットのシルクのワンピースで現れたプリンセスダイアナ。同じ布で作られたサッシュベルトと赤いローヒールで、その日は京都で過ごされます。午後になると赤いつばのある帽子を被られて、パールのチョーカー、バッグと靴も午前とは違う赤と白の2色のものに変え、赤と白のバランスを整えられていたようです。
夜の会食会は京都東山の料亭。ベビーピンクの艶やかなカクテルドレス姿のダイアナ妃は、お箸を使い、舞妓さんと芸妓さんの姿に興味津々だったようです。このベビーピンクのドレスは袖とスカートに繊細な切り込みが入り、その先に細かいパールが無数に揺れて輝く幻想的なもの。有名なサンドラ・ローズのドレスをプリンセスダイアナは見事に着こなしていらっしゃいます。首元のパールのチョーカーとイヤリングも完璧な仕上がり。この来日で一番印象的なドレスでした。ちなみにこのドレスには何と裸足で登場され、お座敷の畳を踏まれていました。

1986年5月10日土曜日
午前中は大阪、神戸を訪問された後、伊丹空港から東京に移動されます。白と濃紺の逆三角形のシャープなスタイルのツーピース姿で歓迎式典に臨まれます。パールのロングネックレスを、チョーカーとペンダントにアレンジし、つば広の白い帽子には濃紺のリボンでアクセントをつけています。
当時の皇太子夫妻の東宮御所をお招きで訪れた時は、シンプルなVネックのロイヤルブルーのロングワンピース。ワンピースには同色のドット柄が入り、サファイアのチョーカーとイヤリング、同色のサテンのバッグでコーディネートされていました。この夜は日本の皇太子ご一家とご夕食を愉しまれました。

1986年5月11日日曜日
オープンカーで東京の青山から赤坂までパレードを行った日。この日の装いは白と濃紺のジャケット、濃紺のプリーツスカート、濃紺のストライプのインナー、サファイアのイヤリング、つば広帽子は昨日と違う丸いカタチのものでプリンセスダイアナがお気に入りのものでした。この可憐なスタイルに日本人は釘付けになりました。
日英協会のレセプションでは、ウエストを強調したシルバーグレイのブラウスジャケット、黒の深いスリットの入ったスカート、ダイヤと黒い星形のネックレス、イヤリングとブレスレットで合わせていて、とても素敵でした。この日は両国国技館での大相撲の観戦にも出かけられています。

1986年5月12日月曜日
当時の中曽根首相主催の昼食会では、縮緬のようなやわらかな素材で作られたロング丈のサーモンピンクのスーツ姿。バッグとベレー風の帽子のリボンに同じピンクの生地を使っています。ゴールドのイヤリングはつばのない白いベレー風の帽子とよく合って、色使いのお手本のようでした。この日は会期中の国会と歌舞伎を見学しています。
夜は英国大使館主催のガーデンパーティ。肩とウエストを強調したパールブルーのイブニングドレスに、パールが揺れるイヤリング、ゴールドのペンダントをつけていらっしゃいます。そのイブニングドレスで日本の皇太子ご夫妻と浩宮様をお迎えしました。この夜のパーティは各界の著名人たちも招待され、盛会だったようです。

1986年5月13日火曜日
秩父宮勢津子妃と三笠宮信子妃と日赤の乳児院を訪れ、日本の子どもたちと触れ合ったプリンセスダイアナ。この日は黒と白の左右の色を変えた大きなフレア襟のコートドレス、黒と白のチョーカー、黒のイヤリング、つば広の白い帽子に黒のリボンとつばに黒のラインでアクセントをつけています。この日はNHKの時代劇も見学されています。
日本最後の夜は昭和天皇主催の宮中晩さん会には、日本人デザイナーの鳥丸軍雪氏のロイヤルブルーのイブニングドレスで登場。光り輝くシルク、ティアラではなくサファイアのチョーカーを額に、二連の揺れるサファイアのイヤリングも素敵でした。シンプルなデザインのイブニングドレスながら、そのシルクの輝きとドレープでとても贅沢な作りに仕上っていました。当時プリンセスダイアナは「日本のシルクを使い、とても高価なドレスになりました」と、そのドレスのことを語っています。晩さん会終了後、そのままのドレス姿で専用機に乗り込み、帰国の途に就かれました。

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この1986年のこの来日の際には、まだ距離がないように見えたチャールズとダイアナ。しかしこの1986年にチャールズ皇太子とカミラ夫人との仲が深まったとも言われています。訪問先の国々でプリンセスダイアナばかり注目され、だんだんと妻の存在が邪魔になってきていたのかもしれません。嫌いなわけではなかったけれど、お互いの気持ちが離れ、歯車はかみ合いません。何度か歩み寄ろうとしてもタイミングが合わないまま。それも相性に入るのでしょうか。その後ふたりは別れに向かって進み、プリンセスダイアナは王室のメンバーから外れて、1996年の夏、海での休暇を存分に楽しみ、パリに到着。そして悲劇の夜を迎えます。

今年で没後25年。あの輝かしいお姿はもうありません。1986年の来日時は一番プリンセスダイアナが輝いていた時期だったように思います。どんなに望んでも戻って来ない時間。間もなくあの日8月31日を迎えます。残されたふたりの王子たちのこれからをお守りくださるよう祈るばかりです。

※ロンドンのハイドパークとケンジントンガーデンにはプリンセスダイアナの名を冠した噴水、遊び場や歩道があります。2021年にはプリンセスダイアナ生誕60年を記念して、ケンジントンガーデンに銅像が建てられ、プリンセスダイアナ・メモリアルガーデンと名づけられています。

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※1986年来日時にイギリス皇太子夫妻が滞在された赤坂の迎賓館。今でも来日される賓客をお迎えしています。