Come and visit TATE BRITAIN-George Frederic Watts(1817-1904)

2022.09.29

英国史雑学

英国の画家と作品をどのくらい知っていますか?
最初に絵画を見た時の無垢な感動。それを大切にして美術館に足を運んでみましょう。
ここではロンドンにあるテート・ブリテンが収蔵する作品をご紹介します。画はhttps://www.tate.org.ukからご覧ください。

  • Come and visit TATE BRITAIN-George Frederic Watts(1817-1904)
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象徴主義の絵画は、19世紀後期にフランス・ベルギーを中心に広まりました。フランスのモロー、ルドン、ベルギーのクノップフたちの、独特の世界観が画の世界に投入されました。英国においてもラファエル前派がその先駆とも言われ、彼ら自身の活動は最初、認められなかったものの、その後継者たちの創造の力を育んでいたのかもしれません。ジョージ・フレデリック・ワッツは直接ラファエル前派との関わり合いはないようですが、歴史にはロセッティの耽美主義と並称されています。

ここでは、ワッツの代表作「Hope」をご紹介しましょう。1897年のこの作品はまさに世紀末。19世紀も暮れようとしている頃の1枚です。

なぜ彼女はたったひとりで、地球のような球体の上、目隠しをしてうずくまって竪琴を弾いているのでしょうか。観た瞬間、誰もがこの構図に驚くかもしれません。真空、虚空を思わせるような薄青い世界の真ん中に女性は漂っています。その手に持つ竪琴の弦はほとんど切れています。目が見えなくても、残った1本残った弦から奏でる音から何かを見出そうとしているのでしょうか。「一縷の望み(いちるののぞみ)」という日本語の言葉がぴったりと重なる1枚。彼女の望みは、かなうのでしょうか。竪琴の音までも聴こえてきそうな、「Hope」の画。この油彩画はロンドンのテート・ブリテンにあります。


Hope
George Frederic Watts(1817-1904)