Cleopatra's Needle~From the United Kingdom

2022.09.30

英国史雑学

テムズ河沿いにそぞろ歩いていると、不思議な尖塔を見つけました。テムズ河に沿っての道にはいろいろな銅像や歴史ある建造物がたくさんありますが、スフィンクスを従えて、どうやらエジプトのものらしいのです。これはCleopatra's Needleを呼ばれている尖塔、オベリスクでした。それもほんとうに、エジプトのアレキサンドリアから運ばれてきたもののようです。

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1801年にアレキサンドリアでの闘いに勝利した英国軍が、長い時砂の中にあったこのオベリスクを運んできました。そのことが台座に記されています。東のブロンズ板にはこのオベリスクはサイエニーの採石場のもの、ギリシャ時代にアレキサンドリアに移送、西の板には、砂中にあったこれを1819年英国のネルソン提督らに贈呈されたと記されています。北と南のブロンズ板には、これを移送した時の災難も書かれています。1877年10月の暴雨で移送していた船がフランスで遭難しかけたところを、アスキン、バーンズ、ガードナー、ドナルド、ベントン、ペータンら6名の犠牲によって助けられ、無事にロンドンに到着。1878年ヴィクトリア女王の時代に、この地に置かれました。こんなに長いものを、遠いエジプトから運んできてのたですから、それは歴史的なことだったのでしょう。

またこの台座にはもうひとつの秘密がありました。この時代のものが中の壺に納められているというのです。まずはヴイクトリア女王の肖像画、この時代の貨幣一式、各国語の聖書から、生活用品の数々。例えば、マッピン&ウェッブの1シリングの剃刀、ご婦人の使う化粧道具、子どものおもちゃ、葉巻・煙草いろいろ、何紙もの新聞等々、タイムカプセルをここに仕込んでいたのです。

街中の通り過ぎてしまいがちになりそうな銅像や建造物。今度はやゆっくりと巡ってみましょう。でもクレオパトラとはアレキサンドリアだけのつながりでネーミングされていたようです。

※Cleopatra's Needleはヴィクトリア・エンバンクメントという通りにあります。ウォーター・ルーの橋から眺めることもできますが、最近のロンドンは高い建造物が多いので、橋から見つけるには一苦労かもしれません。