Come and visit TATE BRITAIN-William Morris(1834–1896)

2021.08.28

英国史雑学

英国の画家と作品をどのくらい知っていますか?
最初に絵画を見た時の無垢な感動。それを大切にして美術館に足を運んでみましょう。
ここではロンドンにあるテート・ブリテンが収蔵する作品をご紹介します。画はhttps://www.tate.org.ukからご覧ください。

  • Come and visit TATE BRITAIN-William Morris(1834–1896)
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画の世界に憧れたウィリアム・モリスには友人の画家バーンジョンズにともに、オックスフォード大学の壁画制作に携わった若き日々がありました。ダンテ・ガブリエル・ロセッティらと希望を持って受けた創作活動でしたが、フレスコの技法の持ち合わせていなかったため、すぐに褪色する悪しき結果となりました。しかしモリスはここで、人生の伴侶と出会う運命に導かれています。

後に家具や壁紙などの生活芸術を極め、成功を収めるMorris。彼が描いたたった1枚の油彩画をご紹介しましょう。

「La Belle Iseult」のモデルはオックスフォードで出会った、未来の妻となるジェーン。豊かな黒髪とジプシーの血を引くとも言われたエキゾチックな顔立ち。画家たちからは熱い眼差しで見つめられていました。1858年に描かれたこの画は、王妃グィネヴィアを模していますが、ベッドの横に立つ王妃は、まるでジェーン自身のようです。ベッドサイドに立ち、無表情で立つ彼女。その眼は何も見ていません。虚無の表情でベルトを腰に当て始めています。さっきまでいたように気配の残るベッド、そのシーツの上で丸まって眠る犬、背後で竪琴を奏でる人の姿。

この画の翌年、ジェーンとモリスは結婚します。この画に描かれているような、モリスこだわりの美しい織物や装飾家具に囲まれての生活が始まりますが、この先には、一筋縄ではいかないジェーンとモリスの愛憎劇が待ち受けています。虚ろで抜け殻のようなジェーンの油彩画は、ロンドンのテート・ブリテンにあります。

La Belle Iseult
William Morris(1834–1896)