早期英語教育のメリット・デメリット|親がサポートできることは?

2021.04.15

子ども英語

幼児期から英語学習を始めたお子さまは、①外国語学習に対する意欲が強い、②発音が優れている、③実生活や社会で英語を使いこなす力を持っている、と言われています。幼児で英語学習を開始すると、一見習得の速度が遅く感じることがありますが、実は将来役立つ英語力の土台を着々と築いているようです。
脳の機能が柔軟な幼少期、低年齢期に「できるだけ楽しく、できるだけ自然な英語を、できるだけたくさん聴かせ、英語のルールを無意識のうちに身につけることが大切」です。ここでは英語の早期教育のメリット・デメリットについて、ご紹介していきます。

国内外における早期英語教育の現状

2019年のTOEIC® L&Rテストの日本人スコアの平均は、前年より3点上がった523点でした。中国571点、台湾562点、韓国678点と、英語圏とはかけ離れた言語のアジアの中でも下位に位置しています。10年前から比べると平均スコアは微増していますが、523点ではまだ中級レベルに届いていません。こんなに英語教育改革が叫ばれ、英語力を高めようとしても日本の英語力が伸びないは、どうしてでしょう?

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日本における早期英語教育の現状

2020年に文部科学省による大きな教育改革が行われ、小学校の英語教育開始時期が早まりました。以前は小学5年生からの英語導入でしたが、小学3年生からの英語の必修化、5年生の英語の教科化がスタートしました。グローバル化の進展に伴う、将来世界で活躍する子どもを育てることを目的としていますが、まだまだ日本の英語教育開始時期は、海外に比較すると遅れているという見方があるようです。

海外の早期英語教育の現状

次に海外の英語教育の現状をご紹介します。韓国をはじめアジアの国々では英語教育の重要性を感じ、日本より確実に英語力を手に入れようとしているようです。

中国

2001年に小学校の英語教育の必修化を発表し、都市部から段階的に導入してきた中国。2005年からは3年生以上は英語を必修化しています。授業内容もコミュニケーション能力の向上が重視され、実践的な指導のようです。かつて世界中に中華料理を広げていった華僑の人たちは、たどり着いたその国々のコミュニケーションを獲得してきました。そのバイタリティあふれる精神は、英語教育にも引き継がれています。

韓国

韓国の英語の必修教科は1997年から。小学3年生以上を対象に導入されています。3年生では英語を「聞く」「話す」、4年生では「読む」、5年生から「書く」学習が取り入られ、コミュニケーション重視のレッスンを行っています。TOEIC® L&Rテストの平均スコアが678点の韓国。英語力を確実にしてきています。英語を覚えるだけではなく、積極的にアウトプットする力をつけるよう、英語環境を整えたことが成功の秘訣のようです。

台湾

台湾の英語教育も中国と並び2001年に始まっています。小学5年生から必修教科として英語を導入、2005年には3年生から導入、英語教育にスピード感があります。リスニング、スピーキング学習をメインにし、必修化されていない低学年にも、英語教育の働きかけもあるようです。さらにインターナショナルスクールのように、英語で授業を行うイマ―ジョン教育も積極的に取り入れています。シェーンでも以前、台湾の幼稚園に大勢の講師派遣をしていました。母語と同じように英語を獲得する教育熱は高いようです。

タイ

TOEIC® L&Rテストの平均スコアは日本とあまり変わらないタイ。それでも小学1年生から英語の授業を取り入れ、英語で他の教科も授業するイマージョン教育の実施に入っていますが、残念ながらその成果はまだ表れていないようです。しかし母国語以外の外国語を積極的に獲得しようとするタイ。タイ経済を活性化させるためのその力に、日本人も負けていられないところです。

ドイツ

ドイツはデンマーク、オランダ、ベルギー、スイス、オーストリア、チェコ、ポーランドと多くの国々に囲まれた多言語国家です。TOEIC® L&Rテストの平均スコアはカナダに次いで第2位。英語とドイツ語は、元々ゲルマン系言語ですから、英語習得は比較的容易なのかもしれません。小学生の英語教育の必修化は2003年と比較的遅いのですが、コミュニケーションを重要視した教育を行っています。中学になるとバイリンガルクラスというものが始まり、イマ―ジョン教育を実施しているようです。

フランス

海を隔てた隣国フランスとイギリス。1066年のノルマン征服後、イギリスは英語を公用語としない憂き目に合い、何かと隔たりのあるフランスとイギリスですが、最近フランスも英語教育にも力を入れているようです。元々外国語の勉強というよりは、外国語に触れる機会を作っていたフランス。2008年には義務教育の始まる6歳から外国語教育が始まり、そのほとんどが英語を選択しています。TOEIC® L&Rテストの平均スコアも733点と、中級以上の英語力を持っているフランスです。

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早期英語教育のメリット・デメリット

では早期英語教育のメリットとデメリットについて考えていきましよう。

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メリット

幼少期は聴覚器官をはじめ五感と感性がとても鋭い時期です。そんな時期に英語を染みこませるように覚えられたら最高です。
しかし英語を母国語とするネイティブスピーカーたちは、私たち日本人が日本語を覚えるように、長い時間周囲の言葉を聴き続けて、英語を習得しています。お父さんがアメリカ人、お母さんが日本人のご家庭の場合、英語と日本語で日々語りたければ、そのお子さまはバイリンガルとなって二か国語を習得することになります。両親が日本語で語り続ける限り、お子さまは幼少期であっても第二言語として英語を習得するのですが、聴覚器官が柔軟で、感受性が豊かな時期に英語に触れる経験はとても意義のあることです。
英語に慣れ、英語耳 を作る機会としても最適です。言語獲得能力が発達途上にある時期に、理屈ではなく五感を通して英語を始めることにはメリットがありそうです。

デメリット

ではデメリットに何があるのでしょうか。一番懸念されることは、日本語もまだ覚束ないうちに英語を始めて、お子さまが混乱してしまわないかということです。
お子さまは日々の家族の語りかけによって、着々と日本語の土台を築いています。またお子さまは敏感に環境を感じ、順応しようとする能力を持っています。周囲が日本語なら日本語、英語なら英語と使い分けをする力があるので、混乱することはありません。ただし、お子さまの気が乗らない時、機嫌のよくない時に無理やり英語を詰め込むことは逆効果になります。
知り合いのバイリンガルの女性の話をご紹介します。彼女は幼少期に海外在住し、帰国後にプリスクールに通っていました。彼女の言語野と呼ばれる脳の一部には、日本語と英語がちゃんと存在し、翻訳することなく自動的に言語を理解できる英語脳らしきものは確かにありましたが、漢字の書き順は確かでないものが多かった覚えがあります。二つの言語を完璧に習得することが難しいと思いましたが、英語と日本語のコミュニケーションに全くの問題はないのですから、これをデメリットとは呼ぶには足りないようです。

子どもの早期英語教育において親ができること

英語の早期教育のメリット・デメリットを踏まえたうえで、ご家庭で親御さんができることや、英会話スクールのやっていることをご紹介しましょう。

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家庭学習でサポートする

まずは英語の絵本の読み聞かせをする、英語の動画や見せる、英語の歌を歌う、英語でのゲームをするなどが考えられます。
絵本や動画は視覚的な情報と物語に触れられるため、その内容が印象に残りやすくなります。英語の歌も、真似でもいいので英語を発音することが大切。耳から入ってくる情報にお子さまたちは敏感です。英語のシャワーを定期的に継続するよう努めましょう。またお子さまが英語って楽しいと感じられる環境を作ることが大切。お子さまの成長に合わせて楽しめる教材を探してみましょう。

英会話教室へ通わせる

毎週英語のネイティブ講師から学ぶことで、お子さまたちは英語学習の刺激を受けることができます。自分たちとは違う肌の色や髪の色の講師たちを目の前にして、子どもたちの旺盛な好奇心の刺激も英語学習を助長させます。クラスルームはもう異文化理解ワールド。英語という言葉を知り、それを話す人の存在を知り、そして英語の背景にある文化を知ることができます。

シェーンでは1977年の創業当時は3歳から、今は2歳のお子さまから英語のレッスンをしています。講師は英語を母国語としたネイティブスピーカーが指導、年齢と習熟度に合わせた13段階のレベルで最適なレッスンをご提案しています。綿密な学習計画に則り、お子さまたちを楽しませるようカリキュラムが組まれ、英語でのコミュニケーションの素地を、しっかりとじっくり育むようにレッスンを行っています。

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英語を身につけたその先にあるもの

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英語がわかるようになったから、成績がよくなったから、英検合格したから、それだけでは英語でのコミュニケーションの入口に立っただけです。その英語を使って、お子さまたちが何をしたいか、英語を身につけた後のことが肝心になります。シェーンでは幼少期から英語を始めた生徒さんたちが、いろいろなことに「気づき」を持っています。高校生の生徒さんの声をいくつかご紹介しましょう。

「海外で仕事をするなら、やっぱり英語でのコミュニケーションが必要不可欠です。だからずっと英語は続けます」

「英語を使って将来仕事に就きたいと考えています。今のこの壁を乗り越えなければ、何も始まらないと言い聞かせて、無我夢中で勉強しています。受験もありますが、レッスンはと続けていきたいと思っています。ゴールは大学入学ではないのですから」

「小さい時にモクスワにいたので、ロシア語も習得したいと思っています。でもまずは英語力を身につけて、シェーンの先生との英会話を楽しみたいです」

「親の勧めで入学したのですが、最初のレッスンが思いっきり楽しかったことを覚えています。英語の成績も上がりましたが、会話する機会と時間がなく、やっぱりシェーンで話すことはやめられません。英語のテストだけに追われる生活ではつまらないので、コミュニケーションとして楽しみたいと思います。私に通訳をさせ、海外旅行に行くことが両親の夢と考えていますが、自分で英語を話した方がずっと楽しいのにと思います。英語は人々をつなぐために必要なスキルなので、大学受験でもレッスンは続けます」

「兄弟で英語のレッスンを始めました。今受験なのに続けているのはなぜかとよく訊かれるのですが、受験より英語が大切だと言いたいところですが、単に続けているだけです。大学では国文学を学びたいと思っているのは、母国語がしっかりと理解できてこその外国語だと考えています。日本語と英語の思考法は全く違うので、日本語がわからなければ、英語も使えないと思っています」

皆さんしっかりと自分の意見を持ち、論理的な大人になるための素地を育んでいるようです。英語を習ったことがきっかけで、英語での考え方を身につけることも可能。英語でのコミュニケーションには論理的な思考を培わないと、先に進めません。自分は何をしたいか、それはなぜなのか、確固たる考えが必要です。英語を覚えるだけでは英語のコミュニケーションは身につきません。英語の臨界期と呼ばれる習得の期限より、お子さま一人ひとりの個性と、自我を育めるような環境を作ってあげることも大切だと思われます。