I’m a bookworm.「多読」の勧め

2020.02.07

勉強法

I’m a bookworm.これは何のことでしょう…

  • I’m a bookworm.「多読」の勧め



高校の頃、リーダーと呼ばれる時間がありました。いわゆるreading(英文読解)の授業です。そこでは、辞書を引いて単語の一つ一つの意味を調べ、文の構造を考え、日本語の語順に並べ替えながら、きちんと和訳することが求められていました。文章の意味を正確に理解する練習、いわゆる「精読」と呼ばれるものです。時間をかけて細部まで「精読」することより、単語の使われ方や文法、構文の理解を深めることができますし、日本語に訳すことで、その英文を理解できているという安心感もありました。
一方、現実社会のリーディングには「速度」が求められます。実践的なリーディングの力を養うために「精読」と合わせて「多読」を英語学習に取り入れてみてはいかがでしょうか。

「多読」とは、文章全体の意味を把握しながら多くの英文を読むことです。多読の一番のメリットは多量の英語がインプットできること。わからない単語があっても辞書を使わず、前後の文脈から意味を推測しながら読み進めてください。
この時、1つの文章の中に5個も6個も知らない単語が出てきては意味を想像することもできませんね。理解できないものをたくさん読んでも意味がありません。わからない単語一つや二つは飛ばしても、わかる部分を繋げれば全体の意味がつかめる、そういった力をつけることが目的です。
「多読」を成功させるコツは自分のレベルよりもちょっと簡単なリーダー(読本)を選ぶことです。子供向けの絵本から始めても良いでしょう。使用語彙がレベル別に設定してある教材を利用するのもお勧めです。

ところで、興味や関心のある特定のテーマや、同じ作家の作品に絞って読むことをNarrow readingと言います。言語学者Krashenによって推奨されたこの方法は、範囲を狭めて多読することで、そのテーマに対する読者の背景知識が増え、内容を理解しやすくなるというものです。
また、何度も同じボキャブラリーに出会うことで、コロケーション(語と語のつながり、使われ方)の知識も知らず知らずに養われるでしょう。余談ですが、ハリーポッターシリーズが大好きで何冊も読んでいる内に自然に魔法の呪文を覚えてしまったという友人もいます。残念ながら実際の会話で使う機会はなさそうですが。

最後に、多読をするときに意識してほしいのが、英語の語順のまま読んでいくということです。日本語と英語では語順が異なります。英語を後ろから訳す、いわゆる「返り読み」「戻り訳し」をやめ、意識して前から語順のままに読みましょう。
例えば

It is about one hour from London by train.(ロンドンから電車でだいたい一時間かかる)

なら、文頭から次のように理解していきましょう。

It is about one hour(だいたい一時間)
from London(ロンドンから)
by train(電車で)

頭の中で日本語に変換せず、「英語を英語のままで理解する」ことで、英文を読むスピードが上がり、同時に、「英語で考え、英語で話す」ための良いトレーニングになります。多読はリスニングやスピーキング力の向上にも大いに役立つ学習方法と言えるでしょう。

元来、読書は楽しいもの。一冊読み終えた達成感が次の一冊へのモチベーションになります。多読を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

※タイトルのbookwormは大の本好きの人のこと、日本語の「本の虫」と同じ発想ですね。