Come and visit TATE BRITAIN-Dante Gabriel Rossetti (1828-1882)

2019.03.01

英国史雑学

英国の画家と作品をどのくらい知っていますか?
最初に絵画を見た時の無垢な感動。それを大切にして美術館に足を運んでみましょう。
ここではロンドンにあるテート・ブリテンが収蔵する作品をご紹介します。詳細はhttps://www.tate.org.ukをご覧ください。

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最近では有名になりましたが、以前は画家としてよりも詩人として名の通ったダンテ・カブリエル・ロセッティ。ロセッティは19世紀の半ば英国でラファエル前派を結成した人物のひとりです。でもラファエル前派って、どういう意味?

中世イタリアルネサンスの画家、ラファエロ以前には、もっと純粋で無垢な感動をもたらす画があったはずだ。様式に基づいたものではなく自然でリアルな感動。それを求めようと若き3人の画家たちはともに創作活動を始めます。

しかし実のところ、その中心人物のロセッティは画力に乏しく、全身像を描くことが苦手だったと言われています。ラファエル前派の活動は芳しくなく、ロセッティの妻をモデルにした「オフィーリア」で傑作を残したミレイが、結局3人の中では成功者となりました。

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ロセッティは「オフィーリア」などのモデルのリジーと長い年月を経て結婚に至りますが、彼女は薬の過飲で早世します。夫の破天荒な女性関係に悩んだリジーは、死に導かれて冬の朝、逝ってしまいます。彼女の死にリジーの墓碑の思いでロセッティは「ベアタ・ベアトリクス」に着手します。ではその1枚をご紹介しましょう。

日時計のあるバルコニーにリジーは座り、目を閉じています。唇は半ば開き、その時を待つようです。祈ろうとした手が自然に解かれ、膝の上にあります。その手元に赤い鳥が、彼女を死に追いやったアヘンのもとの罌粟の花を加えて降りてきます。その後ろには橋。あの世とこの世を隔てているようです。右手にはさまようダンテ、左には愛の女神。ベアトリーチェを失ったダンテを、ロセッティは自分に重ねて描いた作品ですが、彼の有名な1枚となって今は輝きを放っています。この油彩はロンドンのテート・ブリテンにあります。




Beata Beatrix
Dante Gabriel Rossetti (1828-1882)