Yoshio Makino~From the United Kingdom

2019.11.15

英国史雑学

ロンドンを愛した画家が、かつてここにいました。

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明治の時代、ロンドンに住み街や人々を水彩の淡い筆致ながら、印象的に描き続けた日本人がいます。
ロンドンを愛した画家、牧野義雄。
ロンドンの街角を、空気と色を、見事に表現しています。霧を描かせたら随一かもしれません。淡い空気のなかに浮かび上がる女性たちの姿。そこにはさざめく声、行き交う言葉、そのあたりに漂う匂いまでも伝わってきそうです。

牧野は明治2年の生まれ、23歳で渡米し、その後英国に渡ります。それが明治30年、1897年のこと。
夏目漱石が英国留学する3年前のことです。どうやって英語の力をつけたのでしょうか。画力はもちろん、その獲得した語学力もすごいところです。

ロンドンを訪れた多くの芸術家たちが感じるように、ロンドンのその通りを、ロンドンその雰囲気を、牧野はロンドンのその色を同じように受けとめて表現したと、美術評論家のスピルマンは綴っています。そして牧野もその時代の多くの人々、とりわけ英国女性に魅かれ、多くのスケッチを残します。

結局牧野義雄は45年住み慣れたロンドンを去り、再び戻ることはありませんでした。世界大戦が帰国を促したのかもしれません。牧野の愛したロンドンは彼方のまま。1956年牧野は鎌倉で永眠しました。

今でもロンドンの古い佇まいの残った通りに、牧野義雄が立っているような、そんな気なしてなりません。