Hadrian's Wall~From the United Kingdom
2019.10.01
英国史雑学
ハドリアンウォール
遠い昔の戦いの名残りがここにあります。
かつて英国に侵攻していたローマ軍が、北部に住むケルト族のピクト人たちの襲来を防御するために、長い土塁を築きました。
今では石垣になっていますが、最初は土だけの防御壁、それがハドリアンウォール。ローマ帝国の14代皇帝、ハドリアヌスの命によって117キロにも及ぶ長い壁が作られました。
紀元前からローマ帝国の標的にされたブリタニア。今の英国の南の地方をローマ帝国の支配下におき、さらに侵攻は進んでいきます。ボウディッカが娘たちと一族のためにローマ人たちと闘って、最期を迎えたのは61年頃ですので、その50年後にはハドリアンウォールは築かれていたのです。さらに北のアントニヌスウォールと防御壁の造営は続きます。やがてローマ帝国はスコットランドを除いたほとんどを征服することになりました。
ローマ人たちが築いたこれらの壁。ハドリアンウォールは1987年に、アントニヌスウォールは2007年に世界遺産に登録されました。遥か昔の戦場の遺構は、草木の緑に覆われて穏やかな風景を見せてくれています。