Sweet rain from heaven

2017年07月04日
  • 英国コラム

イギリスでも日本でも、会話の糸口として使われることが多いのがお天気。特に雨の多いイギリスでは、少しでも晴れ間が見えると、 “It’s lovely day, isn’t it?”という言葉が日に何度も交わされます。毎日、曇り空の下で太陽の登場を心待ちにしているからなのか、イギリスには天気にまつわる言い伝えが多々あります。今回は、その一つをご紹介しましょう。


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“St Swithin’s Day, if it does rain
Full forty days, it will remain
St Swithin’s Day, if it be fair
For forty days, t’will rain no more.”
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この韻を踏んだ詩は、中世からイギリス各地に伝わることわざです。St.Swithin’s Dayは、7月15日。この日に雨が降るとその後40日の間、雨が降り続け、この日晴れるとその後40日間、晴れ続けると言われます。このことわざは、とある伝説から生まれたそうです。
St. Swithin(正しくはSwithun)は、9世紀に実在したウィンチェスターの司教。862年に他界しましたが、彼は死に際に「大聖堂の北壁の外側に、ささやかな墓を作って埋葬してほしい。そうすれば、人々の足音を聞きながら、 “Sweet rain from heaven” を感じて永眠することができるから」と言い残しました。その願いは叶えられ、9年間、St. Swithinは天からの恵みの雨を受けて眠っていたのです。
ところが、9年後の971年になって当時の修道士たちが騒ぎ出しました。St.Swithinの墓は、聖人にはとうていふさわしくない場所だと言うのです。議論の末に、彼らはSt. Swithinの墓を豪華な大聖堂の中に移しました。
その移築の儀式が始まった途端、嵐のような土砂降りの雨が降り出しその後40日間毎日雨が続きました。人々は、遺志に反して墓を移されたSt. Swithinの嘆きの雨だと信じました。

さて、ことわざは本当でしょうか?イギリスの気象庁の調査によると、55年間の7月15日の天気を調べ、その後の天気を見たところ、40日間同じ天気が続いた例は一度もなかったそうです。
イギリスの天気予報は「晴れ後くもり、時々にわか雨」とでもしておけば、毎日当たるように思うのですが、そうもいかないらしく当てにならない天気予報は国民のバッシングの的。でも、そのおかげで古い言い伝えが残されているのかもしれません。
そもそも、天気を予測し、ましてやコントロールするなんて偉大なる自然に挑戦するようなもの。St. Swithinの言うとおり、雨は天からの恵み。時に大災害にもつながってしまう恐ろしさもあるので予報も大切ですが、雨への感謝の気持ちも併せて忘れずにいたいものですね。