Tate Britain~From the United Kingdom
2025.11.19
イギリスの博物館、美術館のすごいところは所蔵品の数が多いこと、広くて明るいこと、無料で入れること、混雑していないこと、写真撮影ができること、模写してもいいこと。と日本では考えられないことばかりです。展示品が少なく、暗くて混んでいて、そして高い入場料の日本の美術館から足が遠のいてしまいます。
ロンドンに出かけたら、博物館と美術館巡りに一番時間を費やすようにしていますが、ナショナルギャラリーやヴィクトリア&アルバート博物館は収蔵品が多く、なかなか回り切れません。それでもいつも出かけています。特にテムズ河沿いにあるテートブリテンには必ず訪れます。翌日にまた出かけることもありました。
テートブリテンはテートモダン、テートリバプール、テートセントアイヴィスといくつかの美術館を持っていますが、元々は国立の美術館―ナショナルギャラリーでした。1897年7月にヘンリー・テート卿の尽力により開館し、イギリス人の芸術家たちの作品を展示します。実はこの美術館があるのは刑務所の跡地。裕福になったテート卿は慈善事業にたくさんの寄付をし、自分の所有する絵画コレクション65点を英国政府に寄贈し、ナショナルギャラリー・オブ・ブリティッシュアートの名で開館しました。
1932年にはテート卿の名を冠したテートギャラリーとなり、2000年にテートモダンが完成すると現代美術と分けて展示を始め、テートブリテンにまた名称が変わります。トラファルガースクエアにあるナショナルギャラリーは、海外の芸術家たちの作品を多く収蔵していますが、テートブリテンはイギリス人で活躍した芸術家たちの作品の宝庫です。特に18世紀から19世紀にかけて風景画家としての名を馳せた、ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナーの最大のコレクションを有し、こちらはターナーコレクションとして別棟に展示されています。
テートブリテンではウィリアム・ブレイクの魔訶不思議な画、ジョシュア・レイノルズの愛らしい少女、ジョン・エヴァレット・ミレイやジョージ・フレデリック・ワッツ、ジョン・サージェント・シンガーの美しい筆致に目が釘づけになってしまいます。以前はここに来ないと観られない作品が多かったのですが、最近は海外への貸し出しも増え、いつも会える画ばかりではありません。それでも何度も何度も足を運びます。
イギリス好きにはたまらないテートブリテンの魅力。イギリス絵画を通じてもっともっと知りたくなることばかりです。2023から2024年の世界の博物館と美術館の来場者数、テートブリテンは62位でした。混むことなくゆっくりと画と対峙できるのも、テートブリテンの魅力です。

