Lockerbie Memorial Bench~From the United Kingdom

2025.12.21

英国史雑学

英国の王立植物園キュー・ガーデンズを訪れた時、ベンチにさまざまなメッセージが書かれているのに気づきました。いっしょにいた友人と、ひとつひとつ読みながら散策を始めた次第です。池の近くまでやって来ると、大きな木に囲まれたいくつものベンチを友人が見つけました。友人はその言葉を読んでいると、「あら、大変」と驚きの声をあげます。さまざまな思い出をつづったベンチに、悲しい思いが込められていたものもあったのです。後から知りましたが、そこはロッカービーメモリアルベンチ。パンアメリカン機爆破事件の追悼のためのベンチでした。

私たちがこの日キュー・ガーデンズを訪れる数年前の冬、その事件は起こりました。パンアメリカン機103便がヒースロー空港を離陸して間もなく、スコットランドのロッカービー上空で突然貨物室が爆発。機体は空中で分解し、その落下した機体の一部がロッカービーの村に落下し、大爆発を引き起こしました。乗員・乗客・村の住民270名が犠牲となる大惨事を引き起こしました。事件はリビアによるテロでした。

  • Lockerbie Memorial Bench~From the United Kingdom

ロッカービーメモリアルベンチは、植物園の日の当たる穏やかな場所で、犠牲になった乗員の名を刻んで、静かに私たちを待っていました。キュー・ガーデンズの上空にはちょうどヒースローに降り立つ飛行機が、次々と現れます。空の旅の安全を見守るように今日も、ロッカービーメモリアルベンチは飛行機たちを迎えています。