Monkey Puzzle~From the United Kingdom
2025.07.12
世界遺産にもなったロンドン郊外の王立植物園、キューガーデンに行った時のこと。パームハウスの温室を抜け、木立の中を歩いていると何とも不思議な木に出会います。それは踊っているクリスマスツリーのようにも見えてきました。
帰国してからキューガーデンの特集をテレビで観ていると、あの出会った木が出ています。そこでやっとその木の名まえを知りました。それはクリスマスツリーで使うモミの木ではなく、モンキーパズルという名でした。別名アローカリア アローカ、どうやらイギリスの庭園ではとてもよく見かける木のようです。
モンキーパズルの原産地は南米。アルゼンチン南部からチリ中部から南部で、チリの国の木にもなっているそうです。その名の由来はサルでもこの木に登るのは難解だからで、確かにpuzzleの動詞は「困らせる」の意味があります。モンキーパズルの木材は薪や建築材として使われ、その種子は食べることもできるようです。
学名のアローカリアは南米の原住民アロウカニア族に由来し、その種子を使ってかつては発酵飲料も作っていたようです。18世紀に世界中を駆け巡っていたプラントハンターによってイギリスにもたらされたモンキーパズル。南米原産なので暖かくなければいけないかと思っていたら、耐寒にも強くマイナス20度まで耐えられるそうです。古代から植生し、針葉樹の強さを遺憾なく発揮していたモンキーパズルですが、過度な伐採と森林火災によって減少してしまいました。
2001年から2002年に起こった南米での大規模火災では、樹齢1300年以上ものモンキーパズルが枯れてしまったそうです。楽しそうに踊って見えたモンキーパズルでしたが、野生のモンキーパズルは今や貴重な種になっていたのです。それでも観賞用の庭木としての人気が19世紀から高くなったイギリスではモンキーパズルたちは育っているそうです。
キューガーデンのモンキーパズルは、18世紀末にチリの総督との食事に呼ばれたプラントハンター、アーチボルド・メンジーズがデザートに出されたその種子を持ち帰り苗木にしたそうです。デザートの種子がこんなに大きく育つのも驚きです。イギリス初のモンキーパズルはロンドンのキューガーデンですくすく育っていました。