Sir Edwin Landseer~From the United Kingdom
2025.09.05
ヴィクトリア女王の時代、動物たちを最も愛らしく美しく描いた画家、エドウィン・ランドシーア。ヴィクトリア女王の愛犬、キングチャールズスパニエルの雄のダッシュを生き生きと描いています。
ランドシーアは1802年ロンドンで彫刻家の息子として生まれました。その才能は早くから認められ、1831年にはイギリスの最高の芸術機関ロイヤル・アカデミーの会員になっています。ダッシュの画を描いたのは1836年と1837年、1838年と続いています。女王の少女時代からのお気に入りの愛犬ダッシュが、ランドシーアの手によって生き生きとしたその姿が残されています。
1841年にはヴィクトリア女王と結婚された、夫君のアルバート公が故郷ドイツから連れて来たグレイハウンド犬のりりしい姿を描きました。1842年の狩りから帰ったアルバート公とヴィクトリア女王の親密な空間、無邪気に獲物を触る王子の姿。その画は格調高く仕上げられ、ロイヤルコレクションに加えられています。
ランドシーアの作品のレプリカは日本でも見ることができます。東京の日本橋三越本店にあるライオン像、このライオン像はロンドンのトラファルガースクエアのネルソン提督の柱の土台に構えるライオン像の写しです。けれどこの製作の頃ランドシーアの体調はあまり好くなく、ライオン像が設置されてから6年後、1873年10月1日、ランドシーアはこの世を去りました。国民たちは追悼し、反旗が掲げられ、トラファルガースクエアのライオン像に花輪が飾られます。
1837年にランドシーアが描いた「老羊飼いの喪主」も名作です。雑然とした室内に静謐な悲しみが漂っています。ずっといっしょだった牧羊犬の飼い主が亡くなり、どうしていいかわからない姿が健気です。飼い主を想い、棺のそばを離れられない犬の切なさが伝わってくる1枚。ランドシーアは動物の気持ちがわかっていた画家だったようです。
※ヴィクトリア女王の愛犬ダッシュの画はケンジントンパレスで見つけました。