Stairs~From the United Kingdom
2025.09.11
ステアーズ、階段ですが、イギリスではさまざまな階段のスタイルがあります。イギリスにはエリザベススタイル、リージェンシーとクイーンアンスタイル、初期ジョージアンスタイル、中期ジョージアンスタイル、リージェンシースタイル、初期ヴィクトリアンスタイル、中期ヴィクトリアンスタイル、後期ヴィクトリアンスタイルと、その時代の国王と女王の名を冠した建築や内装、家具などの工芸品を様式として捉えています。今回は案外知らない、イギリスの時代毎の階段の変遷をご紹介しましょう。
エリザベススタイルはテューダ―朝のエリザベス1世の前後の時代のものを指します。1500年から1660年くらいの住宅の階段は回り階段で、装飾も手すりもないものが多いようです。今の日本の住宅でも見られる実用的でシンプルな木の階段。中世のゴシック様式が花盛りの建造物の時代です。続いたリージェンシーとクイーンアンスタイルは1660年から1720年代くらい。木彫り細工の手すりには、ねじり型(バリーツイスト)の手すり子(手すりを支える柱・Baluster)の形式が生まれます。今の日本の住宅にもある縦の柱がたくさんあるもので、規則的に並んでいるのでついつい触りたくなるアレです。子どもの頃は触っているだけですが、意外と埃がつきやすく掃除が欠かせないと大人になってから気づきます。
初期ジョージアンスタイルでは手すり子は細くなり、ねじり型だけではなく壺型や円柱型のものも増えてきます。初期のヴィクトリアンスタイルでは一番下に親柱(大き目の柱・newel post)のある階段が登場。このnewel postは今の住宅でもこだわりがあり、DIYセンターなどでもさまざまなカタチのものが販売されています。またヴィクトリア時代に入るとアイアンの階段が登場し、そのデザインも華やかになってきます。ロンドンでよく滞在するホテルはヴィクトリアンスタイルのアイアンの階段が美しく、下から見上げても上から見下ろして美しい場所でした。
※下の写真のリバティの木の階段はテューダ―スタイルを模しています。