プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう

2023.02.01

英国食生活

イギリスの食を支えたとも言われるプディング。そのイギリスのプディングという名のものは日本のプリンとは違うもののようです。日本のプリンはアメリカのカスタードプディングから転訛してプリンとなりました、またプリンという呼び名は和製英語なので、ネイティブたちには通じません。

イギリスではカスタードプディングはcaramel custard。確かにカラメルが上にかかっているプリンです。そしてイギリスのプディングはデザートの別名にもなるほどたくさんのレシピがあります。今回はその奥深いイギリスのプディングをご紹介していきましょう。ヨークシャープディングやクリスマスプディングの名は最近有名になりましたが、まずはイギリスのプディングの歴史からご紹介します。


プディングはソーセージ???

  • プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう
  • プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう
  • プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう

※柊のプディングはクリスマスプディング、プレートにはローストビーフとヨークシャープディング。 朝食には出されるブラックプディングの輪切りは一見チョコレートのようです。

****************************************************************************************************


オックスフォードの英語辞書によると、13世紀にはプディングのその単語は存在していたようです。豚や羊の胃や腸にひき肉、脂(スエット)やオートミールを混ぜ合わせて詰めたものがプディングと定義されています。これではまるでソーセージみたいです。スコットランド名物のハギスが多分、昔ながらのプディングなのでしょう。

17世紀から豚や羊などの腸の代わりにプディングクロス(布)を使い、プディングは作り方を変えていきます。このプディングクロスは染みひとつないきれいなものを使うことが原則。脂などの染みがなければ、クロスを洗って再利用することもあったようです。このクロスプディングはまるで茶巾絞りみたいなカタチをしていました。17世紀にはプディングベイスン陶器のプディング型が使われ、19世紀には銅製のプディング型が登場し、ますます家庭の味として定着していくプディング。中世の羊や豚などの腸を使ったプディングは、とても臭いが強く、今の人たちには耐えられないもののようです。最初は肉料理のプディングでしたが、時代とともに変化していくプディングはだんだんとデザート系の甘いものが増えてきます。

black or white?

プディングたちも白と黒があります。イギリスではblack or white?と訊かれると、ミルクを入れない紅茶または珈琲か、ミルクを入れた紅茶または珈琲かを問いているのですが、プディングの世界にもblack or whiteがありました。ブラックプディングは羊や豚の血が入ったプディングで、イギリスのブレックファストの定番です。真っ黒な見た目に思わず??? 何となく避けて通りたい見た目ですが、意外や美味しい、レバーのソーセージのようです。ホワイトプディングには甘いものと甘くないものがあり、甘くないものには白身魚やチキンを使ったものがあるようです。


スエットプディングは牛脂入り

  • プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう

牛などの脂、スエット入りのプディグはイギリスの伝統のレシピです。日本でも沖縄にはラード入りの「ちんすこう」がありますから、脂と甘いものは合わないわけではないようです。スエットプディングの有名なものに、ローリーポーリープディングがあります。スエットを混ぜ合わせた生地を平たくしてジャムなどを塗ってロールケーキ状にします。これを蒸すか焼いて、輪切りにしていただきます。ローリーポーリーは「ずんぐり」の意味。19世紀後半には栄養不良の児童のために、ジャムローリーポーリーが出されていたようです。スエットでカロリーを十分摂れるうえに、甘いものは子どもたちを引きつけますので、児童の栄養不良の歯止めには効果的だったようで。

※写真はロールケーキのような見た目のローリーポーリープディング。でも昔のレシピのままのお味は賛否両論のようです。


ブレッドプディングはパンのプディング

  • プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう

古くなったパンを使ったレシピは再利用のお手本メニューです。ブレッドプディングの代表にクィーンオブプディングがあります。パンとカスタードいっぱいのプディングに可愛らしくメレンゲをトッピングして焼き目を付けています。17世紀の終りに考えられたプディングで、カスタードの他にジャムやフルーツを入れたりもします。ジャムはラズベリーかブラックカラントがイギリスらしいようです。トッピングのメレンゲはどうやら王冠のようで、どちらかの女王陛下に捧げたプディングではなさそうです。

※写真は焼き目を王冠に見立てたクィーンオブプディング。


アップルクランブルという名のプディング

  • プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう
  • プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう

アップルクランブルの名で有名なイギリスのデザート、そのクランブルプディングはカリカリが命です。水気のある果物と併せて火を通し、表面のそのカリカリを楽しむプディングです。温かいリンゴのプディングはイギリスの人たちは大好きです。カスタードとリンゴの相性はもちろん、リンゴ以外にもクランブルプディングは作られています。


家庭で作るおやつたちは美味しい♪

  • プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう
  • プディング・プディング・プディング イギリスのプディングはプリンではない??? プディングのアレコレをご紹介しましょう

イギリス放送協会BBCが放送している「ブリティッシュベイクオフ」。このテレビプログラムを観ていると、イギリスのお菓子やパンについてもっと知りたくなりました。美味しくないと言われがちなイギリス料理ですが、お菓子とパンは別物のようです。プディングは温かく甘く、美味しくなければならないという説があります。食事の最後に出されるプディングはそれぞれの家庭の味が活かされ、イギリスではプディングはデザートの代名詞にもなっています。

小さい頃祖母がよくお手製のカスタードプリンを作ってくれました。大きな蒸かし器で作る祖母のプリンは、みっちりと少し硬めのカスタードで、カラメルが少し焦げていました。昔の懐かしいプリンですが、今はなかなかお目にかかれません。通販サイトで数分で売り切れてしまうケーキより、昔懐かしいカスタードプリンが今とても食べたくなりました。

イギリスのプディングも、ホームメイドの味の象徴なのでしょう。ロンドンの老舗のフォートナム&メイソンではクリスマスプディングを買ったことがありましたが、果たしてプレッドプディングのクィーンオブプディングなどは、スーパーマーケットなどで売っているのでしょうか。次にロンドンを訪れたら確認したいと思います。

※写真は耐熱のプレートに入っているブレッドプディングと、イギリス人の大好きなスティッキートフィープディング。ブレッドプディングは余ったパンで簡単に作れます。