Come and visit TATE BRITAIN-John Everett Millais(1829-1896)

2021.02.28

英国史雑学

英国の画家と作品をどのくらい知っていますか?
最初に絵画を見た時の無垢な感動。それを大切にして美術館に足を運んでみましょう。
ここではロンドンにあるテート・ブリテンが収蔵する作品をご紹介します。詳細はhttps://www.tate.org.ukをご覧ください。

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19世紀にラファエル前派の起こした3人の画家のひとり、ジョン・エヴァレット・ミレイ。日本に何度も来ている<オフィーリア>で絶賛され、画家として祝福された生涯を送りました。幼い頃から卓越した画力を持ち合わせ、そのうえに努力家だったと言われています。


そんな天賦の才能にあふれ、ロイヤル・アカデミー(王立美術院)の会長まで登りつめた成功者でも、つらいことはあったのです。ここでは酷評された1枚をあえてご紹介しましょう。「 Christ in the House of His Parents (‘The Carpenter’s Shop’)」は、日本語のタイトルでは<両親の家のキリスト>。

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数々の美しい作品を残したミレイでしたが、ラファエル前派結成後の1850年に発表した、この作品が騒動の発端となります。画の中心にひざまずき、幼いキリストから頬に口づけされる聖母マリア。ほぼ左右対称に配置されている大工の作業机の回りでは、マリアの両親たちが作業している姿描かれています。キリストには光輪も光背もありません。形式にとらわれないありのままの姿を描こうとしたラファエル前派の意図が、この神格化されない、日常生活に紛れ込んだキリストとなったわけです。

さあ時の文豪、チャールズ・ディケンズの攻撃が始まります。「寝間着のガウンを着たマリア」、「以上にねじれた首の赤毛のキリスト」と酷評します。ディケンズは、異端のグループのラファエル前派の攻撃をも仕掛けてきます。聖家族が普通ではいけなかった時代。成功者ミレイの認められなかった、この油彩画はロンドンのテート・ブリテンにあります。

Christ in the House of His Parents (‘The Carpenter’s Shop’)
John Everett Millais(1829-1896)