The Mall~From the United Kingdom

2022.04.06

英国史雑学

ロンドンの中心地、チャリングクロスのアーチ から、バッキンガムパレスまで一直線に続く道、それがザ・マル。ロイヤルファミリーの皆さん方が、この道を式典のため馬車でパレードする道です。エリザベス女王在位60周年にもユニオンジャックがたなびき、祝賀を盛り上げていました。同じ2012年に開催されたロンドンオリンピックではマラソンのスタートとゴール地点でもあり、沿道はもちろんセント・ジェームス・パークも大勢の人々であふれていました。

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元々は17世紀頃から遊歩道としてあったザ・マルですが、20世紀初頭に整備され、儀式用のルートとして使われるようになりました。時の国王エドワード7世 が王室の儀式の原型を作り、英国王室をより華やかなものにしています。人気の作曲家エドワード・エルガーに、国王と女王を讃える「威風堂々」を作らせ、今や英国王室を象徴する名曲として親しまれています。バッキンガムパレスまで1キロ弱ほどの道ですが、ヴィクトリア女王を記念して建てられたロータリーに向かって壮大な道を造り上げました。

お祝いの儀式だけではなく、悲しい葬儀の行列もザ・マルを通ります。1997年9月、プリンセス・オブ・ウェールズのダイアナ妃の葬儀の日。ザ・マルの途中でダイアナ妃の兄のスペンサー伯爵、エディンバラ公、チャールズ皇太子、ウィリアム王子、ヘンリー王子がダイアナ妃の棺の後に加わり、ウエストミンスター寺院までの道を歩きました。あの日ロンドン市内で聞こえてくるのは、馬たちの蹄の音とお弔いの鐘の音。まだ若く幼かった王子たちにとってもその道はつらく長かったことでしょう。特に12才で母を亡くし、あの道を歩いたヘンリー王子は、後にあれが辛い思い出だと語っていらっしゃいました。

2022年はエリザベス女王の即位70周年。英国王室史上最も在位期間の長い君主となっています。