Chelsea Flower Show~From the United Kingdom

2022.01.11

英国コラム

ロンドンで世界最大のフラワーショーが毎年5月に行われています。それがチェルシーフラワーショー。2019年に起こったパンデミックから世界は閉ざされ、2020年はオンライン開催、2021年は秋の9月の開催となりました。毎年エリザベス女王をはじめ、ロイヤルファミリーが来場され、イギリスのガーデニング好きが集まる大イベントです。

  • Chelsea Flower Show

チェルシーフラワーショーは1913年から行われ、100年以上の歴史を誇っています。RHS(Royal Horticultural Society)、王立園芸協会が主催し、ロイヤリファミリーたちも艶やかな花々を楽しまれます。花々の展示だけではなく、テーマに沿ったガーデンなどもしつらえられ、ショーガーデンとして来場者を楽しませています。2019年にはキャサリン妃の考案のショーガーデンで、ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子たちが走り回り、水遊びを楽しんでいらっしゃいました。実際にショーガーデンで子どもたちは遊ぶことはできませんが、自然が心と身体を育むことをお伝えしたかったようです。

その会場はロンドンのチェルシーにある王立病院。テムズ河のそばの広大な緑地を備えています。近くには中世時代から、薬草研究のために設立されたチェルシー薬草園もあり、この地には元々植物たちを育てる環境にあったようです。例年開催の5月は薔薇の美しい季節ですが、2021年の秋にはどんな花々が見られたのか、少しだけご紹介します。細かい花のサルビアやギボウシ、ホットリップス、大きく花咲くダリアやグラジオラスが、紫、薄紅、真紅と色鮮やかで、合間に見える白を引き立てながら、風に揺れ、五感いっぱいに楽しませてくれます。また自然に絡み合った葉と草、花。心が和むのがわかります。野花のように咲かせていても、多くの人たちの手が入って作り上げられたショーガーデン。それでも自然の力は欠かせません。ハーブの1つのフェンネルの細かい葉は花々の受粉を促し、その甘い香りを漂わせます。ホットリップスは日本ではチェリーセージとも呼ばれ、白と赤の小花が特徴。花の下部分が赤く、鮮やかな赤の唇のようなので、ホットリップスと呼ばれ、その小花を風に揺らします。気温によって花色が変わり、暑い夏には真紅になり、涼しい時には白と赤、白だけに変化も楽しめる花です。

  • Chelsea Flower Show

イングリッシュガーデンは自然に生えているような草や花を、自然に活かすようにしつらえられています。さまざまな草の緑と花々とともに、パーゴラや木々と融合させる庭。花々を咲かせる「緑の指・Green fingers」を持つ人は、ガーデニングの達人とも言われます。自然な造作を作り出すイングリッシュガーデン。見ているか、作り出せるか、それが緑の指を持つ人か、持てない人かの分かれ目ですね。

※写真は下が唇のように赤くなるホットリップス。チェルシーフラワーショーは英語のウエブサイトでご覧いただけます。