National Portrait Gallery~From the United Kingdom

2020.11.01

英国コラム

イギリスには肖像画だけの美術館があります。キング&クイーンをはじめ、さまざまな肖像画を楽しめます。

  • National Portrait Gallery~From the United Kingdom
  • National Portrait Gallery~From the United Kingdom


ロンドンのトラファルガー・スクエアにはナショナル・ギャラリーが鎮座していますが、実はこの裏にまさに英国らしいギャラリーがあるのです。その名がロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー。 肖像画までも収集してしまう、英国のコレクター気質がわかります。歴史上の人物たちの絵画だけではなく、写真や彫刻までも所蔵しています。 英国のアイコンになる人物像、エリザベス1世、シェークスピアから、「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リー、オードリー・ヘップバーンの女優たちの姿も見ることができました。

18世紀のラファエル前派の画家、ダンテ・ガブリエル・ロセッティと妻との日常を描いた画を見つけました。まだ結婚前の2人の姿。妻はミレイの画の「オフィーリア」で、川に流れていく姿で有名になったリジーです。 デッサンなのでモノクロですが、淡いランプの光の中がわかります。その光のなかの2人の瞬間を垣間見ているようです。椅子に座って、ロセッティは妻の画のモデルをしています。「顔をよく見せてください」というような表情の妻に対して、ロセッティは引き気味の体勢で、モデルを拒んでいるようにも見えます。 1853年の文字は2人が出会って間もなくの頃。2人にとって一番楽しい時間だったのでしょう。画が描かれた9年後リジーはこの世を去ります。この一瞬が2人の幸せな肖像画になったようです。

2023年6月ナショナルポートレートギャラリーはリニューアルオープンしました。歴史上の知った顔と間近に出会えます。ロンドンへお越しの際はぜひお立ち寄りください。