Princes in the Tower~From the United Kingdom

2019年12月01日
  • 英国コラム

倫敦塔には悲しい王子たちのお話が秘められています。

  • Princes in the Tower Princes in the Tower



かつて12歳で王位を継いだイングランド王、エドワード5世。しかし戴冠式前に、叔父である後のリチャード3世の謀反により、ロンドン塔に幽閉されます。その間に両親の結婚が無効とされ、エドワード5世の王位継承権をはく奪され、謀反人の叔父にその王位がわたります。そのまま弟のリチャードとともに、エドワード5世はロンドン塔の中で行方知れずとなります。最近までは見かけたという噂も立ち消え、生死もわからぬままに時は過ぎていきました。200年近く経った1674年、塔の外階段の工事中に棺が発見されます。棺に納められていたのは二体の子ども。当時の国王チャールズ2世は、エドワード5世とリチャード王子たちと判断し、ウェストミンスター寺院に移されることになりました。

しかしウェストミンスターで落ち着いたはずの二人の王子は、その後もロンドン塔を彷徨っていて、目撃談が後を絶ちません。19世紀の英国の画家、ミレイによって描かれたThe Princes in the Tower。階段の途中で立ち止まる美しい少年二人は、目を見開き、辺りの様子を伺っています。どんな物音にも耳を澄ませ、いつでも逃げられるように立つ姿。牢に入れられているわけではないのですが、このおびえ続ける時間がとても切なく感じられる絵画です。