主席宮廷画家でもあったウィリアム・ケントのケンジントンパレスにおける功績、それは室内の絵画でした。ケンジントンパレスの暗いなかにある「王の階段」には大勢の人々が描かれています。ステートアパートメントはロイヤルファミリーたちの居住するためのスペースで、ケンジントンパレスにはクィーンズステートアパートとキングスステートアパートメントがありました。
「王の階段」の描かれた人たちは実在していた人たち
ただケンジントンパレスのキングスステートアパートメントは、訪問者たちと顔を合わせる場所だったようで、荘厳な装飾の「王の階段」が迎えてくれます。薄暗い階段を昇っていくと、バルコニーに立つ大勢の人々がまるでそこにいるようです。その人たちは1700年代初頭ジョージ1世時代、ここを訪れた人や働いていた人たちで、階段の壁面だけではなく天井にも描かれています。
緑の少年を探せ
そのなかには緑の服を着た少年もいます。それはジャングルブックのように野生のなかで育った10代前半の少年、ピーターでした。ドイツの森で発見され1726年にロンドンに連れて来られます。人間社会でも生きていける教育を施すために、ジョージ1世に呼ばれてきたのです。またその隣にいる憂鬱そうな顔をしている人物もいます。その人はアン女王の医師の1人のジョン・アーバスノット博士で、女王のお気に入りの医師でした。暗い顔つきは女王の容態が優れないからでしょうか。想像を掻き立てます。こうして階段を昇っていきながら、その人物1人ひとりと向き合ってみたい気持ちになってきました。
画家も実はそのなかにいる
王の階段は画家・建築家・造園家のウィリアム・ケントによって描かれ、1727 年完成しました。もちろんウィリアム・ケント本人もこの階段には描かれています。それは天井。パートナーの女優エリザベス・バトラーと2人と弟子と並んでいます。錬鉄製の手すりはフランスの鍛冶職人ジャン・ティジューの作品。ケンジントンパレスの一角にある「王の階段」ですが、通り過ぎるだけではなくゆっくりと鑑賞してみてください。