Blenheim Palace~From the United Kingdom
2026.11.27
ブレナムパレスは王室の居城でなはないのになぜパレスなのでしょう。その豪奢な造りとコレクションがパレスと呼ばせたのか、不思議なところです。最初はブレナムキャッスルと呼ばれ、19世紀にはプレナムパレスとなったようです。
北にエントランス、南にサロンとステートルーム、タワーの上には小尖塔の威容を誇るブレナムパレス。このブレナムの名は1704年の南ドイツの戦場の名が訛ってブレナムとなりました。大勝利を収めたマールバラ伯爵は公爵に叙せられ、当時の国王がこの地に城を建てることを許可したことがブレナムパレスの始まりのようです。マールバラ公爵は軍人であり、政治家でした。サラ・ジェニングスとの結婚で軍司令官から公爵まで昇りつめます。サラ・ジェニングスは映画「女王陛下のお気に入り」で、アン女王を巡ってアビゲイルと熾烈な戦いを仕掛けていたあの、サラでした。
ブレナムバレスは1705年の着工から長い年月を要します。一時期王室との建築費のトラブルで工事は中断、結局マールバラ公爵は完成の前に死去してしまいました。未亡人となったサラが完成まで見届けます。ブレナムパレスは今でもマールバラ公爵の居城となっていますが、実は初代マールバラ公爵の姓はチャーチル。そう20世紀のイギリスの宰相、ウィンストン・チャーチルの元々の家系なのです。ウィンストン・チャーチルも従兄弟の後継者と次期後継者が誕生しなければ、公爵を継承する立場でもありました。
ブレナムパレスは広大な庭園の中にあり、その外観も威風堂々としたものです。ステートルームと呼ばれる大広間へ向かうギャラリーのような通路には、初代マールバラ公爵ご一家の肖像画を始め縁のある人たちの絵が掲げられています。天井の高さに驚かされ、その天井画には初代公爵の戦いの時間が描かれているようです。その壮大な大広間の先の部屋もそれぞれの意匠を凝らし、たくさんの肖像画で迎えられます。
レッドドローイングルームと呼ばれる応接室で、第9代のマールバラ公爵ご一家の肖像画を見つけます。それはイギリスでも活躍した画家、ジョン・シンガー・サージェントによって描かれた柔らかな風合いの肖像画。愛らしいお子さま方、たおやかな美しさをたたえる公爵夫人が印象的です。この公爵夫人はアメリカの大金持ちのご令嬢、コンスエロ・ヴァンダービルト。とても魅力的な美しさも有名な女性でした。多分政略結婚だったのでしょう。パレスを守るためと第9代公爵は語っていたそうです。はたから見れば優美な大邸宅と広大な所領地ですが、その維持管理にかかる費用ははかりしれません。
※写真はパレスに向かうための橋。ブレナムパレスは1987年にカントリーハウスとして初めて世界遺産に認定されました。

