Peatとは?スコットランドのウイスキーを支える神秘の泥炭
2025.03.24
かつてその地に咲いていた草花が地中に埋もれ炭化したもの、それはピートと呼ばれています。日本語では泥炭や草炭と言い、燃料として使われていました。
Peatとは何か?
Peat(ピート)は植物が長い年月をかけて堆積し、炭化したものです。湿地帯などに多く見られ、日本語では泥炭や草炭と呼ばれています。燃料として利用されるだけでなく、ウイスキー造りに独特の香りを与える重要な役割を果たしています。
ウイスキー造りには水が一番大切なもの。ラテン語のアクアヴィッテ―命の水、それがウイスキーの語源になったとも言われています。元々アクアヴィッテは蒸留酒のこと。人類は長い間、ビールやワインなど穀物を発酵させた醸造酒を楽しんでいましたが、大麦麦芽を糖化させ、蒸留した技術がアイルランドとスコットランドに広まり、ウイスキーが誕生します。
ウイスキーができるまでの流れ
ウイスキーは一朝一夕にはできません。大麦麦芽を糖化させ、発酵させ、蒸留させてできた白い酒を、樽に詰めて寝かせます。何年も樽に詰めた酒はいつか琥珀色に変わり、まろやかで豊潤なウイスキーに仕上がります。寝かせる期間が長ければ長いほど、価値が高まり希少な存在になります。
Peatの役割と香り
スコットランドでウイスキーが造られたのは、このピートが潤沢にあったのも理由のひとつです。ピートで大麦麦芽を炊くことで独特のスモーキーな香りがつきます。この香りと水、空気の違いによって、蒸留所ごとに個性のあるウイスキーが生まれるのです。
スコットランドの離島、アイラ島。この島は世界中からウイスキーファンが訪れています。元々島には電気もなく、地下水はピートで茶色でした。でもそれがアイラウイスキーの独特な味と香りを産みました。ピートを炊いている蒸留所は今では数少なくなっていますが、ピーティなウイスキーはとても人気です。少し癖はありますが、島の空気と海風も感じます。地中で何千年もの昔のピートが、それを感じさせてくれるのかもしれません。
アイラ島とピーティなウイスキーの魅力
アイラ島のウイスキーは、海の潮風とピートの香りが融合した唯一無二の味わいです。世界中のファンが訪れる理由は、その個性的な香りと深みのある味にあります。少しクセが強いため好みが分かれますが、ウイスキー通には欠かせない存在です。
※写真は切り出され積み上げられたピートとまだ地中にあるピート。でもこれらは再生可能なエネルギーではありません。1年に1ミリ程度の積み重ねた時間の資源を、今の私たちが使わせていただいているのです。
まとめ
Peatはスコットランドの自然が生んだ貴重な資源であり、ウイスキーに独自の香りと風味を与えてきました。アイラ島をはじめとする地域では、ピートの存在が文化と味わいを形作っています。ウイスキーを楽しむとき、その背景にある自然と歴史を感じ取ると、より深い魅力を味わえるでしょう。

