Come and visit TATE BRITAIN-William Lindsay Windus(1822-1907)

2024.02.11

英国史雑学

英国の画家と作品をどのくらい知っていますか?
最初に絵画を見た時の無垢な感動。それを大切にして美術館に足を運んでみましょう。
ここではロンドンにあるテート・ブリテンが収蔵する作品をご紹介します。画はhttps://www.tate.org.ukからご覧ください。

  • Come and visit TATE BRITAIN-William Lindsay Windus(1822-1907)
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ウィリアム・リンゼイ・ウィンダスは港町リヴァプールの出身。ビートルズが誕生する138年前にその地に生を受けました。リヴァプールのアカデミーで画を学び、ロンドンにやって来たのは28才。その時にラファエル前派と出会ったようです。彼の作品の多くを今は目にすることはできませんが、釘づけになる1枚をご紹介しましょう。

1859年のToo Late。その画の前に立った時、その物語が今まさに始まっているところを感じさせる1枚です。色褪せた草むらに女性ふたりと少女、男性が立っています。ひとりの女性は母親らしい人に抱きついて泣いていますが、母親は泣くこともできないくらい放心して遠くを見つめています。男性も顔を隠して号泣しているその顔を、不思議そうに見上げる少女。さあ、この家族に何が起こったのでしょうか。背景の中心、遠くに十字架らしいものがあり、灯台なのか、風車なのか確認できません。海が荒れて波打っていようにも見えます。そしてよく見ると母親の女性の右手には赤いスコップが。その下には草を掘り起こし赤土が見えています。わかるのは悲嘆に暮れているということ。画を観て想像してみましょう。

タイトルにある「手遅れ」とはいったい何だったのでしょうか。テニスンの詩を元に描かれたようですが、画家の実際の体験も交えた表現のようです。画の解説を見たり聞いたりする前に、何も知らない状態で画の前に立つことも、時には必要。想像の世界を広げてみましょう。でもこの画にはもっとToo Lateだった事実も隠されています。ウィンダスの妻はこの画が描かれて間もなく、癌で他界。彼との結婚生活は4年で終わりを告げました。もっと早くいっしょになれたなら… 実際の彼の結婚もToo Lateだったようです。この油彩画はロンドンのテート・ブリテンにあります。

Too Late
William Lindsay Windus(1822-1907)