Yellow Book~From the United Kingdom

2022.03.10

英国コラム

イギリスの人たちのガーデニング好きは、もはや国民病に近いかもしれません。そのガーデニング好きな彼らのバイブル的な存在が、イエローブックと呼ばれる本。このイエローブックに載るためにイギリスのガーデナーたちは頑張っています。モノクロのただの情報の冊子なのに、ガーデナーたちは熱心に愛読しているようです。イギリスではチャリティのために、プライベートガーデンを開放していると、以前シェーンのお役立ち情報でご紹介したことがあります。そのオープンガーデンが一覧として掲載されているイエローブックを頼りに、5月あたりからオープンするインクリッシュガーデンに出かける人が増え始めます。

  • Yellow Book~From the United Kingdom

イエローブックはイギリスのナショナルガーデンスキームが毎年3月頃に発行しています。1927年に設立されたナショナルガーデンスキームは、イングランドとウェールズの選りすぐりのガーデンを紹介。オープンガーデンで得た収益は看護協会に寄付されます。イギリス人の大好きなガーデニングとチャリティがいっしょにできるのですから、イエローブックに載ることがガーデナーの目標です。庭作りにはその人の庭の哲学が大事とされ、イエローブックの審査員もただ美しいだけの庭園を求めているわけではありません。

イングリッシュガーデンの特徴は風景式庭園と言われ、雑然としても独特の美学を持っていると言われます。イエローブックで最も美しいと評価されているオールドレクトリーのガーデン。ここは「グリーンフィンガー・緑の指」、園芸の才能を持つキャロラインさんが造園しています。垣と広い空間にくり広げられる花々と緑。薄青から鮮やかな色の花々へと人々を導きます。うさぎの走る山野草の庭、そして園外の田園風景もその庭の風景に落とし込んでいる場所に連れていってくれます。風景式庭園、その風景もつねに変わり、季節毎にも色合いを変えていきます。キャロラインさんは「ガーデンはけして完成はしない」と言います。これがゴールというものがないけれど、季節と花々の移ろいを愉しませる力に感服します。