女王の誕生日を祝う「トゥルーピング・ザ・カラー」とは? 実は女王にはお誕生日が2つ??

2021.04.21

異文化理解

イギリスが一番好い季節を迎える6月、ロンドンではさまざまなイベントが催されます。その1つがトゥルーピング・ザ・カラー。それが女王陛下のお誕生日のパレードです。
この式典は6月の第2土曜に行われますが、女王陛下の誕生日は4月21日。お誕生日が2つとはいったいどういうことなのでしょうか。

なぜ女王陛下の誕生日は2つあるの?

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遡れば、18世紀の国王ジョージ2世の誕生日は11月。イギリスは日照時間がだんだん短くなり、寒い冬に向かう季節です。でもこんな暗く気候の悪い時期に、誕生日の式典なんてやりたくないと考えた国王ジョージ2世は、6月に誕生日の式典を変更させます。それ以降の国王と女王陛下には本来のお誕生日と、公式な誕生式典の日と2つできたというわけです。

エリザベス女王のほんとうのお誕生日は4月21日。1926年4月21日にロンドンでお生まれになりました。お名まえは、エリザベス・アレクサンドラ・メアリー・ウィンザー。ご幼少時はご自分の名をうまく言えずにリリベットと発音したのを、父君の国王ジョージ6世が聞いてから、リリベットと呼ばれるようになったそうです。
1926年の日本は大正15年。1926年の12月25日に昭和に改元されたので、エリザベス女王は日本では大正のお生まれということになります。2017年には即位されて65年、英国君主として初めてのサファイア・ジュビリーを迎えられました。

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トゥルーピング・ザ・カラーはどんなことをするの?

トゥルーピング・ザ・カラーは、軍旗の色、カラーを見せることが元々の意味になります。
最初はバッキンガム・パレスからザ・マルへ、パレードが始まります。国歌とともにバッキンガム・パレスを出発した馬車には、ロイヤルファミリーたちのお姿。高らかにファンファーレが響くと、女王陛下の馬車のお出ましです。ユニオンジャックがたなびくパレスの前の通りを、近衛兵と馬たちとともにセント・ジェームス・パーク横のグラウンドへ進まれます。
このグラウンドで近衛兵たちが女王陛下のお誕生日を祝う式典を執り行います。それは観光向けに見ることのできるバッキンガム・パレス前の衛兵交代とは違います。式典は1時間ほど続き、ずっと女王陛下はひな壇で彼らを見守ります。そしてまた馬車の列がバッキンガム・パレスに戻ります。昔は女王陛下も騎乗してパレードに加わりましたが、今は馬車でご参加されます。
お誕生日を6月にしたのは、このパレードと式典のためだったようです。イギリスの6月は日本とは違い梅雨もなく、比較的安定した天候が続きます。真夏のような陽ざしに恵まれることもありますので、イギリスの6月は最高の季節だと思います。

パレードの後はバッキンガム・パレスのバルコニーに、ロイヤルファミリーが勢揃いして祝福を受けます。このご様子が毎年ニュースになっていますね。この時のロイヤルファミリーのドレスや、小さいお子さまたちの愛らしいお姿も楽しみです。そして空にはお誕生日を祝う軍の飛行隊が。ロイヤルファミリーたちの目も空に釘付けです。
バッキンガム・パレスの前には、女王陛下のお誕生日をお祝いする人々で埋め尽くされています。この特別な日を一度はロンドンで迎えたいものです。今は無理ですが、近い将来ぜひ出かけたいと願っています。

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女王は英国軍の最高司令官

いつもたおやかで優雅なお姿の女王陛下ですが、実は1945年には英国王室の女性として初めて、英国陸軍にご入隊されました。もちろん女性部隊ですが、女性軍人としてのお勤めをされたそうです。自動車の運転免許も取得され、特別扱いされないことに喜び、軍でのご経験がその後のお考えを培っていったようです。
1952年に即位されると、名目上とは言え英国軍の最高司令官にもなります。実際の最高司令官は時の首相となるわけですが、チャーチルを始め、イーデン、マクミラン、ヒューム、ウィルソン、ヒース、再びウィルソン、キャラハン、サッチャー、メジャー、ブレア、ブラウン、キャメロン、メイ、ジョンソンの歴代首相たちよりずっと長く、最高司令官の座に就いていらっしゃいます。

90歳を過ぎてもご自分で車を運転される、アクティブなお姿を見たことがあります。スコットランドのバルモラル城ご滞在の折には、大好きな乗馬も楽しまれるそうです。特に馬は競技以外にも、大の競馬好き。女王の所有の馬のために、母君のエリザベス皇太后とかなりの時間を競馬に費やされとか。6月は競馬のロイヤル・アスコットも開催され、トゥルーピング・ザ・カラーに続き、女王陛下のお楽しみは続くようです。