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紅茶の国から -英国コラム-

第28回 クリスマスの疲れを癒す? Boxing Day

数年前に日本でもヒットした映画『ブリジット・ジョーンズの日記』で、こんなシーンがありました。クリスマスの日、母親に強要されて、いやいやながら帰省したブリジット、お腹がいっぱいなのに無理やり食事を勧められ、親戚のおじさんからは“How’s your love life?”などと「余計なお世話!」としか答えようのない質問の攻撃、おばさんからのダサいプレゼントに愕然としながらも嬉しいふりをして感謝を述べて…「だから、クリスマスなんて大嫌い!」とブリジットはふてくされます。

「クリスマスは一年で最も大切な日ではあるけれど、最も『大変』な日でもある」というのがイギリス人の本音のようです。数十個のプレゼントを用意するため、数ヵ月前からクリスマス・ショッピングに追われ、クリスマスの日をどちらの実家で過ごすのか夫婦でもめ、久々の帰省でくたびれ、家でパーティをするなら誰を招待するかでもめ、親や親戚やご近所さんとのお付き合いで一晩を費やし、暴飲暴食を強いられる… そんな日の翌日は、さも疲れがたまっていることでしょう。そこで、のんびりするのにぴったりなのが26日のBoxing Day。英国はこの日も公休です。

その起源ははっきりしませんが、様々な由緒のある日です。Boxingは、スポーツのボクシングとは関係なく、箱を意味するBoxが語源。大航海時代には、航海の無事を祈って船乗りたちが箱にお金を入れて教会に預け、無事に帰港したらクリスマスの翌日に開いて、貧しい人に配りました。中世には、主人のためにクリスマスも働いた召使たちがようやく休める26日に、帰省する彼らに主人がプレゼントを箱に入れて渡していました。現在でも、教会でクリスマスに寄付を募った箱を26日に開けて貧しい人にお金を配ったり、クリスマスも休まずに届け物をしてくれた郵便や新聞、牛乳などの配達員の方に労をねぎるチップを渡したり、会社によってはボーナスを支給したりといった習慣が残っています。

イギリス人の同僚に「ボクシング・デーは何をするの?」とたずねると、「頭を抱えて二日酔いと闘う」「ソファでボーッとテレビを観る」とのこと。たいていは、家にこもって、クリスマス・ディナーの残りを食べて過ごすようです。「ボクシング・デーといえば、サッカー観戦!」という人もいました。馬の守護聖人である聖ステファンの日でもある12月26日は、かつて貴族たちに人気のスポーツであった[fox hunting](キツネ狩り)が頻繁に行われていた日で、今では英国で国民的人気を誇るサッカーとラグビーの大きな試合が開催されます。近年では、バーゲンの初日が早まって、26日に開店する店舗が増え、都心では早朝から行列ができる光景も。バーゲン目当ての女性たちは、クリスマスよりもボクシング・デーの方が疲れてしまいそうですね。

今年は26日が土曜日でお休みの方も多いでしょう。イギリス人のように、25日を友達や家族と騒いで過ごしたら、26日は家でのんびりテレビを観て過ごすのも、意外に本場らしいボクシング・デーとなるかもしれません。

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